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学習塾の内装は、基本的にはオフィスや事務所の内装と似ていますので、間取りや家具の配置が思いつかず行き詰まるケースは少ないでしょう。
しかし、たくさんの人に興味を持ってもらえる学習塾にするためには、より学習効果が高く、集中しやすい内装を考える必要があります。
この記事では、これから学習塾を開業する人に向けて、まず考えておきたい内装づくりのポイントをご紹介します。
学習塾には学習効果を高める内装デザインが求められている
学習効果を大きく高めるためには、「学習する環境を整えること」が多くの人に重要視されるようになりました。
従って、これから開業する学習塾の内装デザインは、受講者の学習しやすさを引き出す工夫が必須と言えるでしょう。
学習に影響を与える内装の要素とは?
学習に影響を与える内装の要素として、以下のようなものがあります。
● 内装材の素材
● 内装の色
● 室内の明るさ
● 家具の配置
など
疲れにくい座席
例えば、長時間座っても疲れないイスや、腕や脚が長時間触れても痛くない肌ざわりの良い机などがあると、生徒の集中力が削がれなくなります。
調湿や消臭で快適な空間を
また、無垢材や珪藻土など、調湿作用や消臭作用を持つ天然素材を天井や床に取り入れることで、室内がクリーンになり、子どもの体調を気遣う保護者からも安心して利用してもらえるでしょう。
照明や家具の配置
その他には、テキストを読んでも目が疲れないように教室の照明を増やしたり、他人の影や動きがちらつかない向きになるよう家具を配置したりするといった工夫も効果的です。
安全性への最大の配慮
安全性にも配慮することが大切です。映像型指導方式では、生徒単位でパソコンが必要になるため、部屋の床は配線だらけになります。配線に引っかかってパソコンを倒したり、転倒によってケガをしたりする恐れがあります。複数のタコ足配線によって火事が起こる心配もあるでしょう。コンセントを増設すれば、安全面の問題を解消できます。
入口 から遠い場所に教室を作る
防音対策の一環として、教室は入口から遠い場所に作ってください。教室は非常に静かなため、小さな物音や声でも生徒の耳に入り、集中力を低下させてしまいます。ドアと床の間に大きな隙間があると、廊下を歩く足音や会話が教室に入ってくるため、密閉性が高いドアを設置しましょう。
窓から外が見えないようにする
窓から外が見えると、人や車が通ったときに目で追ってしまいます。集中力が途切れる原因になるため、パーテーションやロールカーテンを取り付けましょう。また、遮光性が低いものだと、人や車が通ったときに影が映ってしまいます。遮光性が高く、外の様子が一切わからない環境を整えましょう。
窓の断熱は想像以上に重要なポイントになります。とくに夏場の暑い時期は、窓際に近い席ほど暑くて勉強に集中できない…ということも起きてしまう可能性があります。内装を考えるときには、あわせて窓の断熱についても確認しておきましょう。
こちらの記事で詳しく紹介していますから、ぜひ読んでみてください。
過ごしやすく光熱費も削減できるオフィスへ!窓の断熱に関する基礎知識
用途に応じた部屋を作る
学習塾では、教室だけではなくミーティングルームや自習室など、用途に応じた部屋を作ることが大切です。ミーティングルームでは、生徒や保護者との面談に使用するため、プライバシーに配慮して廊下を歩く人に立ち聞きされない場所に配置しましょう。
また、自習室は出入りの頻度が激しいため、教室やミーティングルームの隣は避けてください。それぞれの部屋の位置関係に注意して、部屋ごとの役割を果たせるように配置することが大切です。
学習塾の内装デザインのポイント
学習塾といっても小学生向けのそろばん教室から大人向けの英会話教室など、さまざまなタイプがあります。
学習塾の内装には、指導方法・講義スタイルや生徒の人数、受講者層に合わせたデザインが求められます。
指導方法が内装工事や物件選びに影響する
学習中は、指導方法によって必要な設備の種類や数は変わります。
例えば、マンツーマン指導を行う学習塾の場合、対面で指導を行うためのパーティションやカウンターなどが必要です。
一方、一斉指導型の学習塾の場合、数十名の生徒を一度に指導できるように広い教室を用意するのか、指導が行き渡るよう10人以下の教室を複数室用意するのかなど、指導方法に見合った間取りの物件を選ばなくてはなりません。
あるいは、録画した映像を見て授業を行うタイプの学習塾であれば、スクリーンや映像再生機器、大量のデータを遅延なく配信できるインターネット環境も揃える必要があるでしょう。
生徒の年齢層に合わせた内装デザインを考える
学習塾の内装は、受講者の年齢層に合わせてデザインすることがポイントです。
例えば、小学校低学年の児童が利用する教室なら、床をパステルカラーのカーペットにしたり、巾木やテーブルに木材を取り入れたりして、穏やかな雰囲気を演出すれば児童が緊張しにくくなり、のびのびと学習できます。
高校生や大人など、受講者の年齢が高い学習塾の場合は、受講者が普段塾以外で利用している図書館や学校の自習室などと同じ配色になるように、白やグレーを基調とした落ち着いた配色にすると、普段と同じ環境で集中して学習できます。
一方で、真っ赤や蛍光ピンクなど、あまり彩度が高い明るすぎる教室では、学習中に色が視界に入って集中をそいでしまう恐れがあります。基本的に、学習塾の内装デザインにルールはありませんが、あくまでも集中しやすい環境を作るという目的からは逸れないようにしましょう。
学習塾の工事費用相場と開業費用を抑えるポイント
学習塾は飲食店と違って調理機器を導入する必要がなく、排気工事や防水工事なども行われませんので、開業時の内装工事は比較的安価です。
学習塾の内装工事費用の相場は、オフィスの内装工事とほぼ同じ価格で、一坪あたり約20万円前後と考えて良いでしょう。
この価格に加え、学習塾の指導方法に合わせて、映像再生機器や映像を投影するスクリーンの設置工事、個別指導用のパーティション設置工事など、教室の種類別の工事費用が発生します。
実は、安易に居抜き物件を選ぶと余計にお金がかかる場合も
居抜き物件とは、前の店舗が使っていた設備がそのまま残っている物件のことです。
新規開店するオーナーの中には、開業時の内装工事費用を抑えるために、居抜き物件を選ぶ方も少なくなりません。
しかし、学習塾は塾によって指導方法が異なり、それに伴って内装デザインも大きく違います。
もし開こうとする塾とはまるでコンセプトが違う居抜き物件を選んでしまうと、設備の購入費用だけでなく、使わない設備の撤去・処分費用なども発生して、内装工事費用が割高になってしまいます。
現実的に考えても、ご自身の学習塾のコンセプトとぴったり一致するような居抜き物件と出会える可能性は、非常に低いと言えます。理想の居抜き物件が見つからない場合は、設備が何もない「スケルトン物件」を選んだ方が、内装デザインの自由度も高く、設備に無駄も生じることがないでしょう。
店舗デザインラボが手掛けた、学習塾店舗施工事例
Webからお問い合わせ頂いたお客様の施工事例をご紹介いたします。
施工概要
坪数:120坪、デザイン設計:4週間、工事期間:3週間で仕上げております。
お客様のご要望
・「他にないデザイン」にしたい
・全体を見渡せる仕切りの無い空間で各所で各機能がまかなえるレイアウト
・イメージ=アメリカのオフィス(低いパーテーション)
・エントランス(受付周り)=メディア露出を意識したグラフィカルな仕上げ
・マンツーマンで教育できる個室を5つ用意。個室はそれぞれが特徴を持ったデザイン
内装デザインの特徴
以前は事務所として利用されていた物件で、既存の仕様を一部利用して”新鮮さ”を感じるデザインを施しました。
当初、クライアント様から頂戴した希望されるレイアウトからガラッと変えてご提案しました。柱のある物件だった為、それらを壁の中に隠して、希望されていた「抜け感」を表現できるようにオリジナルプランを採用いたしました。
おわりに
学習塾の内装工事は、オフィスや事務所とほぼ同じ内容ですが、開こうとする塾のタイプによっては、機材や設備の購入費が発生する恐れもあります。内装材の色や素材を選ぶ前に、まずは、開業予定の学習塾で最低限導入しなければならない設備の準備資金を確保しておくことが重要です。
その後、受講者の年齢層や収容人数を分析し、集中しやすく安心して学習できる内装を考えて行きましょう。