オフィス選びでは、建物の広さや家賃、立地など、チェックしておくべきポイントがいくつもあります。
しかし、社員が快適に過ごせる環境であることは、会社の売上を何よりも左右する重要なポイントです。
この記事では、社員の目線に立ったオフィス選びのチェックポイントについて解説します。
失敗しないオフィス選びのポイント3つ
社員目線に立ったオフィスを手に入れるためには、以下の3つを押さえておきましょう。
1.設備とスペック両方を確認すること
オフィス用の物件を選ぶときは、設備や内装といった目に見える部分だけでなく、電気の容量や築年数、構造材や耐用年数など、建物の目に見えないスペックも調べておきましょう。
ある程度の内装や間取りは、契約後にリフォームで変更することができます。しかし、築年数や構造材などは後から変更することができず、電気容量など変更が可能な箇所でも、工事に高額な費用が必要になることがあります。
2.水回り設備の充実度を優先
トイレ、給湯室、手洗い場などの水回り設備は、オフィスの中でも社員全員が毎日使う箇所です。
トイレが男女兼用であったり、老朽化して不衛生であったりすると、社員全員に強いストレスを与えてしまい、快適な労働環境と呼ぶことはできません。
また、社員の休憩所となる給湯室の使い勝手も確認しておきたいポイントです。
さらに、食後に歯を磨ける広い洗面台や、化粧直しができる明るく大きな鏡があるかなども確認しておくと良いでしょう。
3.過度な節約は業務効率に悪影響
月々の固定費の大半を占める家賃は、できるだけ出費を抑えたい箇所です。また、オフィス用の物件を、賃貸ではなく購入する場合も、無理をしてハイスペックな物件に手を出すのは避けたい所です。
しかし、オフィスに掛ける資金を節約し過ぎたばかりに、社員に我慢してもらう部分が多くなると、業務の効率を大きく下げることになってしまいます。
業務効率の低下が原因で、売上を落とさないためにも、社員にストレスを与えるような不便な物件は避け、快適なオフィスにしっかり投資しましょう。
建物設備のチェックポイント
建物の設備は、以下の3箇所をよくチェックしておく必要があります。
清潔で快適なトイレ
トイレは、男女別であることはもちろん、機器の清潔さや手入れのしやすさも欠かせません。
便座に暖房機能がない古いトイレは、汚れが落ちにくく、便座カバーの交換など余計な清掃の手間が増えてしまいます。
トイレは、最新のタンクレストイレでも約20万円前後で交換が可能です。もしトイレのリフォームが可能な物件であれば、必要に応じて、少ない手入れで長持ちする最新のトイレへのリフォームも検討しておきましょう。
また、トイレの位置も、出入り口付近や社員の席の近くなどは避け、パーテーションを使って死角を作るなどの工夫も大切です。
「トイレに行くことを恥ずかしがるような社員はいない」と決めつけてしまわず、すべての社員の目線に立って、ストレスなく使用できるトイレの環境を整えましょう。
給湯室や休憩室の使い勝手
社員が使用済みのマグカップやお弁当箱を洗うことを考えると、給湯室はできるだけお湯が使えるものが望ましいでしょう。
その他、冷蔵庫や電子レンジなどの機器の充実度や、お昼休みに混雑して順番待ちが発生しないよう、社員数に応じた広さにも配慮が要です。
また、社員にとってリラックススペースとなる休憩室も、分煙されているか、くつろぎやすいイスやソファーを置くスペースはあるか、真冬に寒すぎることはないかなどの点もチェックしておくと良いでしょう。
セキュリティ
建物のセキュリティは、物品の盗難やデータ流出を防ぐという意味ではもちろん重要ですが、何よりも、社員の安全を守るために確認しておきたいポイントです。
・建物に不審者が入ったことを知らせる警報システムがあるか
・警備員が常駐しているか
・建物が警備に加入しているかどうか
この点と合わせて、避難経路が確保されているか、避難器具が緊急時にすぐ使えるかどうかも必ず確認しておきましょう。
建物スペックのチェックポイント
個別に変更できない建物スペックの中でも、特に、空調タイプ・電気容量・インターネット回線の3点は、契約前に確認しておきましょう。
個別空調とセントラル空調
個別空調タイプの建物は、部屋ごとに空調機が設置されているため、電源のオンオフを各オフィスで自由に行うことができます。フロアごとに業種が異なり、空調の使用時間がバラバラになりやすい雑居ビルなどで多く使用されています。
一方、セントラル空調とは、建物全体で決められた時間に作動する空調システムのことです。一台の熱源機で建物全体の空調が管理できるため、大型のビルに多く採用されています。
セントラル空調の建物でも、各部屋それぞれで温度設定が可能なものとそうでないものや、電気代が共益費に含まれているものなど様々です。
オフィスの就業時間と比較しながら、空調タイプの違いと、建物ごとの特徴をチェックしておきましょう。
電気の容量
空調や照明、パソコンなど、オフィスでは大量の電気を消費します。
電気の容量が足りず、何度もブレーカーが落ちると、業務のロスになるばかりか、大事なデータが消えてしまう恐れもあります。
現在使用しているオフィス以上、または同程度の電気容量があるか確認することはもちろん、事業拡大に伴うサーバーの増設や、人員増のためのパソコンの追加などの際に、電気容量の増加が可能かどうかも調べておきましょう。
インターネットの速度
オフィスで使用するインターネットは、通信容量が多く、回線も安定している光ファイバーが望ましいでしょう。
ケーブルテレビのインターネット回線など、無料で利用できるものなどもありますが、速度が遅く通信が不安定になることも多く、最悪の場合、ネットが使えず、大事なお取引先に期限までにデータが遅れないといったトラブルに繋がりかねません。
建物の種類や所在地によっては、光ファイバーなど速度の速いプランは契約できないことがありますので、物件選びの際に、加入できるインターネット回線の種類も調べておきましょう。
おわりに
オフィスの環境改善は、業務の効率化や事業拡大など、多くのメリットをもたらしますが、社員目線に立って物件を選ぶことで、その効果はより大きなものとなります。
「今までこのくらいのスペックで問題なかった」「このくらいは社員に我慢してもらなわいと困る」と切り捨ててしまわず、社員全員がストレスなく過ごせる環境を優先して選びましょう。