野菜や肉、日用品やお菓子など、何種類もの大量の商品が並べられているスーパーでは、客にストレスを与えない 陳列デザインが求められます。
この記事では、スーパーの売り場に必ず取り入れたい、代表的な陳列デザインを5つご紹介します。
スーパーのレイアウトの秘密
スーパーほど、心理テクニックが随所で使われている店舗はないと言えるでしょう。
スーパーの陳列デザインは、客に商品を一つでも多く買わせることを目的として考えられています。
通常、買う予定のないものまで買わされそうになると、誰でも不快感を覚えてしまうものです。
しかし、スーパーの陳列デザインは、気づかないうちに買わせてしまう不思議な心理テクニックが随所に隠れています。
陳列の原則は買いやすさ
いくら陳列デザインを工夫しても、客が「買い物がしづらい」と感じてしまえば意味がありません。
極端な例ですが、店側が売りたい商品が、店内のあちこちにでかでかとディスプレイされているような店では、客は「ターゲットにされている」と不快感を覚え、他の商品を買う意欲も失せてしまうでしょう。
陳列デザインを考える時は、あくまでも、客がストレスを感じずスムーズな買い物ができるかどうかを守ることが原則です。
スーパーの代表的な陳列デザイン5つ
以下からは、スーパーを経営するうえで必ず押さえておきたい、5つの陳列デザインをご紹介します。
スーパーは反時計まわりに陳列されている
右利きの人が多いことを想定して、スーパーでは客が反時計まわりに動くよう陳列されています。
野菜や魚、肉などの生鮮食品はコンビニやドラッグストアに置かれていないことが多いため、スーパーを訪れる人の多くは生鮮食品を求めてやって来ます。
そのため、スーパーでは最初に野菜などの生鮮食品を入口付近に並べ、牛乳はゴールのレジ付近に配置するという順番で陳列されています。
陳列棚に空きスペースを作らない
どのスーパーも、生鮮食品はその日の出荷分がなくなれば在庫切れになってしまいますが、それ以外のお菓子や乾物、調味料などは陳列棚に常に補充されています。
棚の商品がスカスカだと、客は「この店は在庫が確保できていないから、リピーターになっても潰れてしまうかもしれない」とマイナスイメージを連想してしまいますので、陳列棚の中はできるだけ空間を作らないようにしましょう。
「ついでに」を促進する陳列
レジの横に、ガムやミント、おつまみ、乾電池といった小さな商品を置かれていて、会計を待つあいだ「ついでに買っておこうかな」と思って、つい手を伸ばしたことのある方も多いのではないでしょうか。
ガムやミントなどの小さな商品であれば、一通り店内を回って一杯になったカゴにも入り、少額なので「余計なものを買った」と後悔することもないでしょう。
指定ゴミ袋や乾電池、お弁当用のふりかけなど、うっかり買い忘れがちな商品を並べると、買い忘れが防げてほっとした客が、お店側に対しても安心感を持ってくれるかもしれません。
無造作な陳列は安売り品に効果的
スーパーなどで、安売りの商品や見切り品が、乱雑に入れられているカゴを見た経験があるかと思います。
このような陳列方法は、「ジャンブル陳列」と呼ばれます。(※ジャンブル=ごちゃ混ぜ)
安売りの商品が沢山詰まったカゴを見ると、客はついお得な気がしてしまい、一つくらいならと手に取りたくなります。
別ジャンルの関連商品をあえて配置
パスタやうどんなどの麺類コーナー付近に粉チーズや揚げ玉を置いたり、お肉の近くに焼肉のタレや鍋つゆを置いたりする陳列も、スーパーでよく行われているテクニックです。
タレや調味料などの関連商品もその場で買い物カゴに入れることができれば、客は広い店内を歩き回る必要がなく、他の商品をゆっくり見て周れるため、店内の商品を手に取る確率が高くなります。
客がつい注目する陳列テクニックも取り入れよう
他のスーパーが当たり前のように取り入れているテクニックばかりを真似ても、リピーターの獲得は難しいかもしれません。
「こんなスーパー見たことない」と思わせるような、目を引く陳列テクニックも導入してみましょう。
きれいに並べるだけが陳列じゃない
鮮やかなオレンジやいちご、バナナやスイカなど、目を引く色味の商品を一箇所でどっさり陳列すると、客は目を引かれつい売り場に足を運んでしまうでしょう。
一つの商品を大量に並べる陳列テクニックは「ボリューム陳列」と呼ばれ、スーパーだけでなくホームセンターやドラッグストアなどでも採用されていることがあります。
ボリューム陳列は毎日同じものを並べても効果がありませんので、季節の果物やテレビで話題の食材などを並べて、客に「見つけた!」と思わせるように効果的に使いましょう。
スーパーにもおしゃれが求められる時代
近年は、従来の「夕飯の献立に使う食材を急いでカゴに入れる場所」ではなく、商品ディスプレイをゆっくり眺めて楽しむことに重きを置くスーパーも登場するようになりました。
アクセサリーのように壁に吊られたフルーツや、スポットライトを浴びた野菜、チーズプレートに美しく盛り付けられたチーズなど、おしゃれな生活を連想させるディスプレイが行われているお店もあります。
また、スーパーに並ぶ商品は沢山の色が使われていますので、同系色でまとめる、赤→緑→赤のように差し色を挟むなど、商品の色を利用した、飽きさせない配色も意識してみましょう。
おわりに
何気なく通っているスーパーも、基本の心理テクニックをしっかり押さえ、お店ならではの目を引く陳列を編み出し続けています。
「自分が客なら店内をどう歩くか」「陳列を見て買いたいと感じるか」など、客側の視点に立つことを忘れずに、ストレスなくゆっくり買い物ができるスーパーを作っていきましょう。