飲食店の内装デザインを考える時は、「壁」の使い方も意識してみましょう。壁は空間の仕切りとしてだけでなく、飲食店の売上アップにも繋げることのできる便利なアイテムです。この記事では、飲食店の内装デザインで壁を活用すべき理由や、おすすめの壁使いテクニックをご紹介します。
飲食店の内装で「壁」が重要な意味を持つのはなぜ?
壁は空間を仕切るだけのアイテムではありません。壁の使い方次第で、飲食店の内装をグレードアップさせることも、お店の売上をアップさせることも可能です。
壁は店舗の空間を活用する絶好のスペース
店舗の空間は有限です。ものを置くために棚やテーブルをいくつも増やしているとお店が狭くなってしまい、お客さんやスタッフが動き回るスペースも圧迫され、余計な動きが増えてオペレーションの効率が悪くなるでしょう。元からある壁を、メニューの掲示スペースやインテリア小物を置く収納として活用すれば、店舗の空間を有効に活用することができます。
内装の壁使いに店舗の売上アップのヒントが詰まっている
壁の使い方ひとつで、店舗の明暗が分かれると言っても過言ではありません。壁の使い方が思いつかない場合は、同業他店舗の内装を実際に見学して、壁使いをチェックしてみましょう。実際に客として注文を済ませて座席でくつろぎ、何気なく目に入る「壁からの情報」を分析してみると、「おすすめ商品の告知をしているな」「あえて絵画を一枚だけ飾って、おしゃれな雰囲気を演出しているな」などの気づきを得ることができます。他店舗の壁使いから得たヒントの中から、ご自身のお店に合ったものを参考にして取り入れてみましょう。
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ただし、自分だけで決めるのではなく、やはりプロの意見も取り入れることも必要ですから、気軽に相談してみるのがおすすめです。
こちらでカラースキームについて紹介しています。ぜひご覧ください。
出店の流れ|店舗内装・内装工事なら東京の店舗デザインラボ
飲食店で内装の壁を有効活用するテクニック5選
以下からは、飲食店の内装にぜひ取り入れたい、おすすめの壁使いテクニックを5つご紹介します。
おすすめメニューを壁でさりげなくアピール
テーブルに置かれたメニューの中に「おすすめメニュー」や「新商品」の告知を混ぜ込んでも、お客さんには特別感が伝わりにくく、スルーされてしまいがちです。
壁はメニューをピンポイントで目立たせることができ、さりげなく告知が行えるスペースでもあります。壁に何気なく掲示された季節のメニューや本日のおすすめメニューを見つけたお客さんは、「いいものを発見した」という喜びから、壁に掲示されたメニューを注文したくなるでしょう。
壁の掲示物で待ち時間のストレスを緩和する
飲食店の座席に座っていて、近くの壁に掲示されていた新メニューの告知やオーナーのメッセージなどが目に入り、料理が届くまで眺めてしまった経験がある方も多いのではないでしょうか。壁の掲示物は、待ち時間のストレスを減らすツールにもなります。掲示物の位置は、客が座席に座って顔を上げた時、ちょうど目に留まるくらいがベストです。
シーズンメニューの告知で内装に季節感をプラスする
季節を意識した新商品や、旬な食材を使ったメニュー、クリスマスやバレンタインフェアなど、シーズンメニューの告知を壁に貼れば、商品のさりげないアピールだけでなく、季節感も演出できます。
壁埋め込みタイプの収納を活用する
壁に厚みがあれば、壁埋め込みタイプの収納を設置して、収納やディスプレイとして活用することもできます。壁の収納は食器などを置くスペースとしても使えますが、あまり生活感を出したくない場合は、お店のデザインに合うインテリア小物を並べるスペースとして使うとよいでしょう。壁面に空けた空間にあえてラックを設けず、絵画を飾って間接照明でライトアップすれば、ギャラリーのようなシックな内装にすることも可能です。
ユニークな設備で印象付ける
インパクトのある内装で他店と差別化したい場合は、店舗を印象付けるユニークな設備を壁に取り付けてみましょう。壁埋め込み式の水槽やプラネタリウムを設置している飲食店もあれば、オーナーが集めたアンティーク品や鉄道模型のコレクションを展示している飲食店などもあります。
また、壁にボルダリング用のクライミングウォールを取り付けたり、テレビゲームが遊べるテレビを取り付けたりする、遊び心のある飲食店も登場し始めました。ただし、ユニークな設備を設置する際は、何らかのテーマに特化した「コンセプトカフェ」にするのか、あくまでもおまけ的な要素に留めるかの線引きを明確にしましょう。
店舗の壁を活用する時の内装デザインの注意点
店舗の壁をアレンジする際は、内装全体のバランスを見ながら、壁面の使用量や色使いに配慮することがポイントです。
壁の使用量はお店のコンセプトに合わせる
壁の「使用量」を誤ると、お店のコンセプトがぶれてしまう恐れがあります。例えば、メニューやポスターが壁一面に貼ってある大衆食堂や居酒屋は、雑然とした雰囲気がにぎやかさを演出しており、お店のコンセプトに合っています。しかし、高級感やスタイリッシュさが売りのお店や、料理も内装もすっきりとシンプルなデザインにしたいお店などは、壁に掲示物があるほど圧迫感が出てしまい、お店のコンセプトが損なわれてしまうかもしれません。壁の使用量は、お店のコンセプトに合わせて判断する必要があります。
飲食店では壁の色使いも重要
暖色系の色は食欲を増進させる効果があるため、飲食店の壁紙にぜひ取り入れたい色です。暖色系には赤やオレンジ、茶色などがありますが、レンガ模様や木目の壁紙などでも暖かい雰囲気を作れます。一方、「青」は食欲を減退させる色ですので、飲食店の壁には使用を控えた方がよいでしょう。座席近くの壁が青いと料理まで青く照らされてしまい、お客さんの食欲を失くし、お店の印象自体も下がってしまいかねません。
壁の色のほかにも注意してほしいのは、店舗内の照明の使い方です。色合いひとつで売上が左右されると言っても過言ではないので、”とりあえず”で照明を決めてしまわないようにしましょう。
こちらの記事で照明について詳しく紹介していますので、ぜひご覧ください。
ミシュラン常連店では当たり前!店舗イメージ・売上が3倍変わる、印象が良い店舗照明3つのポイント
壁の種類と特徴も知っておくと便利
壁には、さまざまな種類があります。それぞれの特徴を詳しくみていきましょう。
クロス(壁紙)
クロスには、ビニールクロスや紙クロス、織物クロスなどがあります。ビニールクロスは安価で機能性に優れており、豊富なバリエーションがあることが特徴です。紙クロスはコストが高いものの高級感があるため、高級料亭や旅館などにおすすめです。また、余分な湿気を吸い取り、乾燥しているときは湿気を出して湿度を調節する性質があります。
織物クロスは高級感があり、上部なことが特徴です。ただし、汚れが落ちにくいため、汚れる可能性がある飲食店には向きません。また、防火認定を受けていない製品が多いため、キッチンなど火を使うところは難しいでしょう。
塗り壁
塗り壁は、珪藻土(けいそうど)や漆喰(しっくい)を使用しており、和なテイストに仕上がります。調湿性や断熱性、防火性などに優れているため、あらゆる店舗に使用できます。ただし、コストが高く施工に時間がかかります。
木質系壁材
木質系素材は高い断熱性と見栄えが良いことが特徴です。低コストで木の質感を演出できるため、使いやすいでしょう。調湿性に優れているため、火を使う飲食店などにおすすめです。ただし、経年劣化が起こりやすいため、定期的なメンテナンスが欠かせません。
タイル
タイルはデザイン性に優れており、カフェや料亭、美容室など、あらゆる業種に使用できます。耐久性と防火性に優れていますが、地震によってひび割れが起こりやすいことが特徴です。また、抗菌や防汚加工が施されている機能性に優れたタイルもあります。
アクセントになる素材のため、内装の一部に取り入れるのがおすすめです。
コンクリート
コンクリートは、現代的でスタイリッシュなイメージになる素材です。メンズ向けのカフェや美容室、メンズエステサロン、アパレル店などにおすすめです。防火性と防音性にも優れているため、機能性とデザインを両立した素材と言えるでしょう。
ただし、コンクリートの打ちっぱなしでは、配線を隠すことに手間とコストがかかります。また、熱伝導性が高いため、夏は暑く冬は寒い店内になるでしょう。空調で調節する場合、電気代が高くなってしまいます。
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おわりに
飲食店の壁は店舗のメニューやコンセプトをアピールする絶好のスペースです。壁の使い方次第では、注文や客足を増やすこともできます。壁のデザインだけにこだわり過ぎず、床や天井、座席や食器といった他の内装と調節しながら、バランスのよい店舗の内装をデザインしましょう。