スタンド飲食(スタンド業態)は、飲食店の新しいスタイルとして注目を集めています。本来なら、「足が疲れる」「ゆっくり食事を取れない」といったデメリット面が強調されがちなスタンド飲食店が、なぜ飲食業界のトレンドになりつつあるのでしょうか?
この記事では、スタンド飲食店の店舗デザインが支持される理由や、スタンド形式の店舗デザインを考える時のポイントなどをご紹介します。
飲食店の新しい定番・スタンド飲食店とは
スタンド飲食型店舗(またはスタンド業態)とは、店内に椅子やテーブルを設けず、お客さんにカウンターで立食してもらうスタイルの飲食店を指します。
もはやスタンド形式は立ち食い蕎麦だけじゃない
これまでも、立ち食い蕎麦やうどん、立ち飲み居酒屋など、スタンド業態の飲食店は存在していました。しかし近年の飲食業界では、寿司や焼肉といったスタンド形式と縁遠かった飲食店も、カウンターで気軽に食事を取るスタンド形式を取り入れる動きが増えています。
さらに、スタンド形式を取り入れることによって売上を増加させた飲食店も増えてしており、スタンド業態は、今後ますます飲食業界で広がりを見せて行くでしょう。
スタンド飲食店のメリット
スタンド飲食店は、店側にもお客さん側にも沢山のメリットがあります。
スタンド飲食店を経営する「店側」のメリット
● 低コストで開業できる
● 人件費を抑えられる
● 狭小地でも店舗が成り立つ
● 回転率が高いため価格を下げても売上が確保できる
スタンド飲食店は、家具や設備が最小限で済み、少ない従業員数でも店舗全体にサービスが行き届くため、初期費用や人件費をかけずに開業することが可能です。また、客席のスペースが少なく済むため、狭い土地やテナントでも開業できるという強みもあります。
さらに、立食形式だとお客さんは長居しにくいため、必然的に回転率も高くなります。メニューの価格を下げても回転数の高さを維持できていれば、高い売上を維持することも不可能ではありません。回転数の高さを活かして、価格の安さで他店と対等に勝負することもできます。
スタンド飲食店を利用する「客側」のメリット
● メニューの価格が安い
● 高級料理をリーズナブルに食べられる
● 一人でも気軽に立ち寄れる
● 時間がない時でも利用できる
スタンド飲食店の多くは、回転数の高さを維持することでメニューの値下げを実現しており、ステーキやお寿司などの高級料理をリーズナブルな価格で提供するスタンド飲食店も登場しました。客側にとっては「安い値段で素早く食事が取れる」「高級な料理を安く食べられる」「コストパフォーマンスが高い店」というメリットとなります。
また、「一人で飲食店に入るのが恥ずかしい」という人や「ゆっくり外食する時間がない」という人でも気兼ねなく利用できる気軽さこそ、スタンド飲食店が現代人に支持されている大きな理由と言えるでしょう。
スタンド飲食の店舗デザインで重要なポイント
スタンド飲食店のメリットを活かすためには、店舗の間取りや内装をデザインする際に、以下のようなポイントを抑えることが大切です。
最小限の手間でオペレーションを完結させる
スタンド飲食店は、最小限の手間でオペレーションを完結させることによって売上を維持しています。入れ代わり立ち代わり訪れるお客さんで通路が塞がれたり、従業員が右往左往したりして回転数が落ちないように、無駄のない最小限の動線を店舗内に作りましょう。
オペレーションを減らす工夫の例:
● お客さんや従業員がぶつからないように通路のゆとりを確保する
● カウンターのどの位置からも全てのお客さんに接客できる間取り
● お箸や水を完全にセルフサービス化する
● 入口から入り、食べた後は出口に向かう人の流れを作る
● メニューの数をあえて減らす
など
店舗のカウンターを効果的に使う
カウンターの使い方は、スタンド飲食店の売上を大きく左右します。お箸やウォーターサーバー、メニュー表の位置を工夫して、お客さんがカウンターの上だけで過ごせるようなデザインを考えましょう。
また、お客さんはカウンター席から調理時のオペレーションを眺めることができます。店側にとっては「客の視線が気になってしまう」というデメリットとなるかもしれませんが、料理をパフォーマンス化することで、お客さんに「次に来た時はあの料理を頼んでみよう」と期待させることができます。
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おわりに
スタンド飲食スタイルは、少ないコストで売上を確保できるにも関わらず、現代の需要とマッチしているという理由から、飲食業界の新しいスタイルとして定着しつつあります。
スタンド飲食店のメリットを活かすためにも、動線やカウンターの使い方を工夫するなどして、多くのお客さんを受け入れられるような店舗デザインを考えましょう。