移動販売車は、実店舗に縛られずに自由度の高い営業が行える、魅力的な店舗形態です。自らお客さんがいるエリアに出向く移動販売車でも、多くのお客さんに気に入ってもらうためには、営業しやすい内装デザインを考える必要があります。
移動販売車で内装デザインを行う時や、業者を選ぶ時の注意点などを知っておきましょう。
移動販売車の内装デザインはどうやって決まる?
移動販売車で開業する際は、車両の内装デザインの特徴や、開業にかかるコストなどを把握しておかなければなりません。
移動販売車の内装デザインは業種によって異なる
移動販売車には、
● スーパー
● 飲食店(軽食、スイーツ、ドリンク、お弁当など)
● コンビニ
● 灯油
など様々な種類がありますが、行う業種によって内装デザインの方向性は大きく異なります。
例えば、スーパーとして営業する移動販売車の内装デザインでは、商品を陳列する棚や、お客さんが数名入っても会計まで行える広いスペース、土足で入っても汚れにくいフロアなどを用意する必要があるでしょう。
飲食店の移動販売車であれば、冷蔵庫や調理器具を置いてもスムーズに調理が行えるような動線を、車内に作らなくてはなりません。
日用品を販売する移動販売車などでは、ドアを開けた瞬間にすべての商品が見渡せるよう、車両全体にディスプレイ棚が取り付けられていることもあります。
移動販売車で開業する時の費用
移動販売車のメリットは、実店舗よりもコストを抑えられる点です。もちろん、車両の購入費用やカスタマイズ費用、燃料費、仕入れ費用などはかかりますが、テナントと違って家賃が発生せず光熱費も車両一台分で済む点で、圧倒的にコストを削減できます。
また、基本的には少人数でのオペレーションとなるため、従業員の人件費も最小限で済むでしょう。
移動販売車の開業費用は、約200〜300万円が相場ですが、開業する業種や選んだ車種などによって価格は変動します。
移動販売車で内装デザインが必要な箇所
移動販売車の内装をデザインする時は、主に以下の部分をよく確認しておきましょう。
窓・扉
窓は移動販売車の顔となる部分です。特に飲食店の移動販売車であれば、調理の様子をお客さんに見せたり、商品を受け渡したりする最も重要なスペースとなります。
また、移動販売車は基本的に屋外で営業するため、跳ね上げ式の扉で屋根を作るなどして、雨が降った時でもお客さんが濡れにくい構造にすることもポイントです。
設備・機器
移動販売車には、冷蔵庫、シンク、調理用の機器などの業種に応じた設備・機器が置かれていますが、内装をデザインする際は、最小限の動線で調理や商品の受け渡しが行えるように配置の工夫が必要です。
適切な位置に設備・機器を配置できるように、車両カスタマイズ業者の店舗に赴いて、実際に車両の中を歩きながら、オペレーションの流れをシミュレーションしてみましょう。
カウンター
レジ打ちや食材のカット、物の一時的な置き場所など、カウンターは非常に役に立ちます。移動販売車にカウンターを設置する時は、腰に負担がかからない高さに設置なるよう注意しましょう。常に腰を折り曲げないと使えないカウンターでは、長時間の立ち作業を続けることが難しくなってしまいます。
陳列棚
商品の陳列や、食材や道具置き場として使う棚は、移動中に転倒しないようしっかり取り付けましょう。突っ張り棒などを使ってDIYで安く取り付けることも可能ですが、移動中の揺れで落下すれば、設備の故障や商品のロスといったトラブルに繋がりかねません。
棚に限らず、車内の転倒防止対策は、カスタマイズの際に業者にしっかり固定してもらうことをおすすめします。
移動販売車の内装デザインを考える時の注意点
移動販売車の内装デザインは、選んだ車種とカスタマイズ業者次第で、使いやすくなることもあれば、機能不足に陥ることもあるため注意が必要です。
移動販売に使う車両の選び方
移動販売車に使える車両は、軽ワゴンや軽トラックから2トントラック、調理が行えるキッチンカータイプまで、幅広く存在します。
大きな車両ほど目立ちやすく沢山の機器や設備を載せられますが、業種や営業エリアによっては、狭いエリアにも入れるように小さな車体を選んだ方が良いケースもあるでしょう。
また、移動販売車は中古でも購入できますが、古い車種は燃費が悪く、ブレーキやバッテリー、タイヤ等のメンテナンスも頻発して、維持費用がかさむ恐れがあります。初めから移動販売用の設備機器が搭載されている中古車になると、劣化した設備のメンテナス費用も増えかねませんので、保証期間や過去の点検履歴などは購入前に必ず確認しておきましょう。
その他、購入する車両の自動車保険や車検への加入、車両の登録なども必ず済ませる必要があります。
内装デザインを任せる車両カスタマイズ業者の選び方
車両を移動販売車用にカスタマイズしてくれる業者は沢山ありますが、できるだけ、営業予定エリア内にある業者に依頼すると良いでしょう。エリア内の業者であれば、各種申請手続きやメンテナンスを簡潔に済ませやすくなります。
また、移動販売車で食品を取り扱う場合は、営業するエリアの保健所で許可を取らなければなりません。許可申請を代行してくれるカスタマイズ業者もいますが、申請書を依頼主が入手しなければならない所もありますので、依頼前に業者に持参物を確認しておきましょう。
おわりに
移動販売車の営業スタイルは、実店舗を持つよりもコストがかからず、任意の営業エリアまでお店自ら出向けるなどのメリットがあります。営業予定エリアの需要にマッチすれば、多くのお客さんに利用してもらえるかもしれません。
車内という限られたスペースを効果的に使えるような、業種に適した内装デザインや車両、カスタマイズ業者を選びましょう。