従業員のストレスが少ない労働環境を作ることも、会社の努めです。
従業員のストレスを放置していると、業務効率が低下するだけでなく、「労働環境が悪い会社」というマイナスイメージを持たれてしまう恐れがあります。
今回は、オフィスに潜む4つのストレス要因と、ストレスを生み出さないオフィス作りのポイントをご紹介します。
オフィス内のストレスを減らすために
快適と呼べないオフィスでは、従業員は常にストレスを感じながら仕事をすることになり、業務効率も下がってしまいます。
過度なストレスが原因で、従業員が病気にかかったり、退職したりするのを防ぐためにも、オフィスのストレスレベルには常に気を配っておかなければなりません。
オフィスの快適さと業務効率の関係
人間関係や負担の大きい業務、使いにくいレイアウト、不衛生な環境など、オフィスには様々なストレス要因が潜んでいます。
毎日働くオフィスでストレスに晒され続けた従業員は、次第に、「不快な思いをするくらいなら仕事をしたくない」という思考に陥ってしまい、業務効率も低下してしまいます。
オフィスのストレスチェック制度が義務化
平成27年12月より、労働者が50名以上のオフィスでは「ストレスチェック」を、年に1会実施することが義務付けられました。
ストレスチェックでは、従業員に労働環境に関する質問を行い、その結果から、各々のストレス状態を分析します。
その結果、従業員はストレスレベルを自覚することができ、心因性の病気を未然に防げると考えられています。
ただし、ストレスチェックはあくまでも、従業員自身の自己管理に役立てるものです。
つまり、会社側としては、ストレスチェックの指数が高まる前に、ストレスとなる要素をあらかじめ排除し、快適な労働環境を用意しておかなければなりません。
ストレスの原因となるオフィスの環境やレイアウト4つ
オフィスの中でストレスを感じる原因は、大きく4つに分類することができます。
1.暗くて窮屈なオフィス
暗くて窮屈な作業環境は、多くの人がストレスを感じます。
照明の明るさは「照度」という言葉で表しますが、照度が不足していると、手元が見えにくくなり、作業が行いにくくなります。
また、片付いていない書類の山や整理整頓されていない棚、汚れが溜まった壁・床なども、窮屈感を感じる原因となるでしょう。
さらに、このようなオフィスは、災害時に避難経路が絶たれる恐れもあるため、防災上も好ましくありません。
2.動線が考慮されていないレイアウト
建物内での人の動きは「動線」で示すことができますが、この動線をスムーズにすることも、オフィスのレイアウトを考える時の大切なポイントです。
障害物が多く、オフィス内を自由に移動しづらいオフィスは、業務にロスが生じ、従業員同士の連絡も取りにくくなってしまいます。
人の動きで作られる動線は、設計図通りにはなりません。
従業員の動きを観察して、何往復もするようになっていたり、遠回りになっていたりしないか、時々見直すようにしましょう。
3.業務に集中できない環境
作業中に、隣の人と距離が近すぎると、周囲に配慮して作業しなければならず、強いストレスとなります。
作業のたびに人にぶつかったり、仕事の資料を広げられなかったりするようなオフィスでは、業務に集中することができません。
あるいは、上司や役員の席が目の前にあって、視線が気になって集中できないという人もいるでしょう。
また、防音性の不足も集中力を削ぐ材料です。
静かに作業していても、外の物音が聞こえてきたり、休憩室の談笑が響いたりするオフィスでは、休憩と仕事の切り替えもままなりません。
反対に、話し声や物音が極端に発生しないオフィスでは、電話や相談など、音を立てるたびに周囲に気を遣ってしまい、音が無さすぎる環境も考えものと言えるでしょう。
4.温度と湿度の過不足
空調が効いていないオフィスは、言うまでもなくストレスを感じますが、効きすぎる空調も考えものです。
オフィスの環境基準を定める「事務所衛生基準規則(事務所則)」では、オフィスの適正温度について「17度以上28度以下」という数値を提示しています。
また、温度だけでなく、オフィス内の湿度にも注意が必要です。
乾燥しているオフィスでは、風邪や病気のウイルスが蔓延しやすく、静電気が発生しやすくなり機器の故障にも繋がります。
先ほどご紹介した事務所則によれば、オフィスの湿度は「40%以上70%以下」であることが推奨されています。
内装リフォームで働きやすいオフィス環境を作ろう
既存の設備だけでストレス要因を改善ないときは、思い切って、オフィスのリフォームも検討してみましょう。
まずは手軽に行える箇所でリフォームを
オフィス全体のリフォームを行うと、一時的に業務が行えなくなることがあります。
建物のフルリフォームが行えないようであれば、通常業務と並行して行える、手軽なリフォームから実施を検討してみましょう。
例えば、個別に空調の温度を設定できない建物にあるオフィスであれば、窓に断熱シートを貼るだけでも、紫外線や日差しを和らげることができます。
あるいは、冬場の乾燥が激しいオフィスであれば、置き型の加湿器や観葉植物などを導入して、室内の潤いを増やすことも可能です。
また、オフィスのストレス改良が思うように進まない時は、内装リフォーム業者に相談してみる方法もおすすめです。
オフィスの面積、既存の設備や家具の大きさ、業務内容などの要素を考慮して、最もストレスが少ないなレイアウトや間取りを、プロの目線で考えてもらうことができます。
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おわりに
使いやすく過ごしやすいオフィスで、快適に業務を行うことができれば、ギスギスした気持ちや閉塞感を感じにくくなり、従業員のメンタル面も明るくなっていくでしょう。
オフィスのストレスレベルは、従業員個人に委ねず、会社が率先して行動することにより大きく改善できます。
オフィスのストレスは、人間関係のトラブルや業務が原因で発生するものなど様々ですが、オフィス内の環境を変えるだけでも、それらの要因を和らげる効果があります。