テラス席付きの飲食店を開業する場合は、飲食店の営業許可とは別に、テラス席を設置するための届出も済ませておかなければなりません。また、届出の他にも、テラス席には屋外ならではの注意点やデザインのポイントが沢山あります。
良いことばかりじゃないテラス席はデザインも工夫が必要
テラス席を設置する飲食店は、保健所に「屋外に座席を設けること」の届出を行わなければなりません。その他にも、温度や害虫、騒音といった屋外ならではのトラブルに備えてデザインを考える必要があります。
テラス席のある飲食店は開業時に届出が必要
飲食店にテラス席を設ける時は、保健所に「屋外客席設置届」を提出しなければません。新規オープンする飲食店はもちろん、既に開業している飲食店にテラス席を追加する場合も届け出る必要があります。
※「屋外客席設置届」については、後述の『飲食店にテラス席を設置する時のルール』で詳しく解説します
テラス席は気候の影響を受けやすい
屋外にあるテラス席は、快適さが屋外の気候に大きく左右されます。雨や強風といった悪天候の日や、真夏や真冬など屋外の環境が厳しくなる時期には、お客さんからテラス席を敬遠されて「テラス席が空いているのにお客さんが入らない」というもどかしい状況に陥ることもあるでしょう。
その他、自然豊かな立地にあるテラス席であれば、料理に虫や葉っぱが混入してしまったり、お客さんが虫さされに合うなどのトラブルも対策しておかなければなりません。
テラス席が騒音トラブルを招く恐れもある
壁に囲まれていないテラス席は、客席の声が近隣住民に迷惑をかけないよう配慮する必要があります。
大声で騒いでいなくても、食事の音や話し声が近隣住民からの苦情に繋がることもあるため、隣家とテラス席を離すといったデザインの工夫も必要です。
飲食店にテラス席を設置する時のルール
飲食店にテラス席を設ける場合は、保健所に「屋外客席設置届」を提出する必要があります。厳しい衛生管理が求められる飲食店において、屋外にあるテラス席は、店内以上に安全性に配慮しなければなりません。
設置ルールが守られていないテラス席は届出が受理されないため、店舗の工事に着工する前に、自治体の保健所で屋外客席の設置ルールを確認しておきましょう。
テラス席の設置条件は各自治体の保健所によって異なりますが、一般的には以下のようなルールを守る必要があります。
テラス席の座席数が店内よりも少ないこと
テラス席の規模は、店内の客席以下に留めなければなりません。テラス席の座席数を制限することによって、緊急時に店舗のお客さんを避難させやすくするためです。
お店とテラス席が隣り合っていること
テラス席は、お店に隣接して設置するようになっています。店舗から離れた場所や道路を挟んだ向かい側の敷地などでは、たとえご自身が所有している土地でも、独立してテラス席を設けることはできません。
テラス席の境界を区画すること
屋外は不特定多数の人が行き来するため、どこまでがご自身の店舗のテラス席か、植木やポール等で区画して境界線を明らかにする必要があります。
テラス席を設置する時に配慮したいデザインのポイント
屋内の客席と環境が異なるテラス席では、屋外というデメリットをメリットに変えるようなデザインが求められます。
テラス席の暑さ・寒さ対策を施す
テラス席の寒さ対策には、パティオヒーター(屋外用業務用ガスストーブ)を取り入れると良いでしょう。パラソル状のリフレクターがヒーターの熱を効率良く広げるため、一台で周辺の座席を温めることができます。
暑さ対策としては、冷却効果のあるミストシャワーや、日よけ用シェードの設置などが効果的です。
また、冷暖房設備が設置されたテラス席を設けることで、お店の前を通った人に「涼しいor温かいから休憩しよう」といった具合に、店舗まで誘導させる効果も期待できます。
雨でも使える快適なテラス席を作る
雨や雪が降っても問題なく使えるテラス席があれば、悪天候の日でも店舗の座席数を減らさずに済みます。
客席が濡れない位置にシェードやパラソルを置いたり、濡れても滑りにくい床材を選んだりして、雨に強いテラス席をデザインしましょう。
車や人の通行量が多すぎないか確認
車の通行量が多い場所にテラス席を設置すると、排気ガスや車のエンジン音で料理を楽しんでもらえなくなってしまいます。その他、通行人の視線が気になって食事に集中できないお客さんもいるかもしれません。
テラス席を設けることが、かえってお客さんを不快にさせないように、設置前に出店場所の環境や交通量を確認しておきましょう。
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おわりに
一見おしゃれで快適に見えるテラス席ですが、営業許可とは別に「屋外客席設置届」を保健所へ必ず提出し、気温や天候、周辺環境にも配慮しなければならないなど、設置には沢山の注意点があります。
自治体のルールを守って、テラス席のお客さんが快適に過ごせるようなデザインを考え、お店の売上アップに役立てましょう。