オフィス用の家具をすべて新品で揃えると、高額な出費になります。しかし、最低限の設備や家具を揃えなければ、快適なオフィスを作ることはできません。
オフィス移転や新規店舗のオープンなど、家具をすぐに購入できないような時は、オフィス家具のリースを検討すると良いでしょう。デスクやチェアといったオフィスの必需品も、リースでお得に揃えることができます。
ただし、便利な物にはデメリットが隠れているものです。上手く使えば心強い味方となる、リース家具のメリットとデメリットを把握しておきましょう。
リース家具のしくみ
リースとは、リース会社から設備や家具を長期間借りるサービスのことです。
コピー機や、デスク&チェアセット、応接セットや、ホワイトボード、そして社用車まで、オフィスに必要な家具や設備を、リース品で一通り揃えることができます。
レンタルサービスと似ていますが、リースとレンタルは異なるサービスです。
リースとレンタルの違い
レンタルは、DVDやレンタカーのように、約1〜3日程度の短期間の貸し出しのことです。貸し出しに当たって、レンタル料金は発生しますが、利息が発生することはありません。
一方、リースは、約3~10年の長期間の使用が前提となっており、使用料とは別に、使用期間に応じた利息が発生します。
設備や家具のリース期間
リース設備や家具のリース期間は、設備それぞれの「法定耐用年数」に準じます。
法定耐用年数とは、「減価償却」という会計の手続きで使用する年数です。減価償却では、設備の価値が減少した分を、その年の経費として処理します。そして、その価値の減少分の目安となるのが、設備の種類ごとに定められた法定耐用年数です。
参考:国税庁『耐用年数表』
https://www.keisan.nta.go.jp/survey/publish/34255/faq/34311/faq_34353.php
リース期間の目安は、法定耐用年数の約7割です。
オフィス家具をリースにするメリット
オフィス家具をリース契約で揃えると、以下のようなメリットがあります。
初期費用を抑えられる
リースで設備や家具を揃えると、月額数万円のリース費用が必要になります。しかし、数万円の家具を大量に購入した時の出費に比べれば、非常に割安になります。
特に、新オフィスや店舗がオープンして間もない頃は、移転費用や開業費用、役所での申請費用など、多くの費用が発生します。そのため、設備や家具を購入していると、莫大な初期費用が必要になってしまいます。
リース品であれば、初期費用を抑えながら、新しい設備や家具をすぐに揃えることができるでしょう。
税務処理が簡易になる
通常、家具や設備などの固定資産を購入した時は、その購入費用を、法定耐用年数に即して数年間に分けて減価償却しなければなりません。
減価償却では、購入費用に対して経費処理できる金額が少ないため、開業後の数年間は、赤字を招く恐れがあります。
ところが、リース家具は、リース元の会社の所有物ですので、設備の減価償却を行う義務があるのはリース元の会社です。
つまり、リース品を使用している会社は、リース料を経費処理するだけで良く、設備の購入費用もかからないため、翌年の所得税を抑えることができます。
さらに、固定資産台帳の作成や納税といった会計処理も、リース元の会社が行いますので、開業後の会計業務もスムーズになるでしょう。
ただし、固定資産税や会計処理の手数料は、リース料に上乗せして請求されていますのでご注意ください。
資金計画が立てやすい
基本的に、リース料の支払いは、毎月定額です。利用年数に応じて返済額が変動することもないため、月々の収支管理がスムーズになります。
さらに、リース期間の短縮、あるいは延長も、設備の法定耐用年数に応じて設定することができます。そのため、事業が安定した頃に使用期間を短縮し、早めにリースを終了させて、新しい設備を購入するといった柔軟な資金計画を立てることができます。
オフィス家具をリースにするデメリット
リース契約のデメリットは、リース家具や設備を使用しなくなった時に顕著になります。
中途解約ができない
基本的に、リース契約は、使用の中断や中途解約ができません。
設備や家具の購入代金は、リース会社が負担しています。そのため、リース利用者からリース料が支払われなければ、リース会社は購入費用を回収できなくなってしまいます。
もし業務内容の変更や、部署の廃止などの理由により、リース設備を使わなくなっても、返品することができないため、使わない設備の費用を、リース期間が終了するまで払い続けなくてはなりません。
購入よりも費用が割高になる
リース料は、設備の価格に対し、約4~5%を上乗せして請求されます。上乗せ金額の内訳は、固定資産税や、リース設備の保険料、手数料などです。
つまり、リース品は、初期費用を安く抑えることはできても、トータルで見ると購入よりも割高になってしまうのです。
また、中途解約を申し込むと、リース残額に加えて違約金を請求されるため、リース品を使用したばかりに余分な出費が発生する恐れもあります。
会社の所有物とはみなされない
リース品を長期間利用しても、所有権が利用者に移ることはありません。そのため、もし設備が不要になっても、売却や譲渡を行うことができません。
あまりにも長期間契約し続けると、リース品を管理するスタッフが変わり、リース品と知らず、うっかり売却や廃棄をしてしまう恐れもあります。
まとめ
家具や設備をリース品で揃えることで、購入費用を大幅に節約することができ、会計処理に悩まされる時間も少なくなります。
特に、オフィスや店舗のオープン直後であれば、節約できた家具や設備代を事業資金に回すことができ、何かと複雑になりがちな、事業開始直後の会計処理も簡易にすることができるでしょう。
ただし、設備を使用しなくなった時のデメリットが非常に重く、一度契約した後は、手放すのは用意ではありません。
長期的に使う設備かどうかをよく考え、契約条件をしっかり確認したうえで、リースを検討しましょう。