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クラウドファンディングサービスを使えば、中小企業や個人でも、銀行からの融資以外の方法で資金調達が行えます。
この記事では、クラウドファンディングのしくみやサービスの種類といった、クラウドファンディングの基本的な知識と併せて、利用するメリット・デメリット、自分でクラウドファンディングサービスを立ち上げる方法なども解説します。
クラウドファンディングの仕組み
クラウドファンディングとは、あるプロジェクトを達成・実現するために、不特定多数から資金を調達するしくみのことです。
集めた資金を使ってプロジェクトを実現させた後は、支援してくれた人に、完成した商品の受け渡しや利益の配分、結果報告などの形でお礼を行います。
自由度と斬新さがクラウドファンディングの魅力
自由に資金調達が行えるといっても、将来性のないプロジェクトやひとりよがりなプロジェクトでは、支援者の共感は得にくいかもしれません。
しかし、企業が行わないような自由で斬新なプロジェクトを提案でき、そのようなプロジェクトの現実化を見守れる喜びなども、クラウドファンディングが注目された理由と言えるでしょう。
クラウドファンディングの種類
クラウドファンディングには、大きく分けると以下の2種類があります。
● プロジェクトが実現した際、支援者がサービスを利用できるのか
● プロジェクトが生んだ利益のリターンを、支援者が金銭として受け取れるか
さらに、上記2種類の中にも複数のパターンが存在します。
支援者がサービスを利用できるクラウドファンディング
支援者が、金銭ではなく、「サービスの満足度や、開発された商品を受け取れる」タイプのクラウドファンディングです。
寄付型タイプ
ボランティアや寄付を募るクラウドファンディングです。
支援してくれた人への直接的な見返りはなく、災害時の物資調達や人材派遣などにかかる費用を、完全に寄付してもらいます。
購入型タイプ
支援者は、プロジェクトの実現化によって生み出されたサービスや商品を、直接受け取ることができます。
個人が考えたアイデアグッズや、店舗のオープン費用をクラウドファンディングで資金調達し、支援者には、実際に作成されたグッズや店舗の商品・サービスを提供します。
支援者が金銭として受け取れるクラウドファンディング
支援者に対して、売上や利益の一部が返ってくるクラウドファンディングで、「投資型クラウドファンディング」とも呼ばれます。
ファンド型タイプ
商品開発や、新規事業のための資金調達です。「購入型タイプ」と似ていますが、「ファンド型タイプ」では、商品だけでなく売上の一部も投資額に応じて支援者に配当されます。
貸付型タイプ
投資家がクラウドファンディング運営会社を介して、個人、または企業に出資するタイプです。調達した資金は「運営会社からの貸付」という形で、個人または企業に供給されます。
「貸付型タイプ」は、金利と投資額の元本が返ってくるため、プロジェクトの規模にもよりますが、高い利回りが期待できます。ただし、プロジェクトが失敗してしまった場合は、投資額が返ってこないリスクもあります。
株式型タイプ
非上場の中小企業やベンチャー企業に対し、投資家が少額の投資を行うクラウドファンディングサービスです。
株式の購入額で企業は事業を発展させることができ、投資した人は株主のように配当や優待を受けられるようになります。もちろん、通常の株式投資と同様に、株式の価値が低下した場合は損失も発生します。
クラウドファンディングのメリット・デメリット
クラウドファンディングによる資金調達には、メリットだけでなくデメリットも潜んでいます。場合によっては金融機関に融資を申し込んだ方が、プロジェクトの実現や起業の近道になることもあるかもしれません。
クラウドファンディングのメリット
これまで、何かを始めようとする時の代表的な資金調達方法は、銀行からの融資が一般的でした。開業してまもない個人事業主や、発足したばかりで実績が少ない会社、起業できない個人にとって、銀行から融資を受けることは簡単ではありません。
一方、クラウドファンディングサービスにプロジェクトを提案し、「このプロジェクトは信用できる」と思ってもらうことさえできれば、プロジェクトを発足した人が企業か個人か、あるいは実績の有無や知名度などに関係なく資金調達が可能です。
また、金融機関から融資を受けた後は、万が一事業が失敗すれば多額の借金を背負うことになってしまいます。しかし、クラウドファンディングでは、もしプロジェクト実現せずに頓挫しても、資金は支援者に返還され、プロジェクトを立ち上げた人が借金を抱えることもありません。
ただし、プロジェクトが実現した後に起きたトラブルは、立ち上げた人が責任を負うことになります。
クラウドファンディングのデメリット
プロジェクトの作成者は、サービスが実現できなかったり、支援者の理想通りのサービスにならなかったりした場合に、多くの人からの信用を失う恐れがあります。
また、支援者側も、せっかく支援したプロジェクトが実現しなければ、見返りを受け取ることができません。
あるいは、無事にプロジェクトが実現しても、
● こんなサービスになると思っていなかった
● 実現したのに、いつまで経っても見返りが受け取れない
● プロジェクトの立ち上げ人と連絡が取れない
といった、支援者とプロジェクトの立ち上げ人との間でトラブルが生じる恐れがあります。
クラウドファンディングを利用する時は、安易に資金を募るだけでなく、最後まで実行できる計画もしっかり立てておかなければなりません。
国内の主要なクラウドファンディングサービス
世界中で広がりつつあるクラウドファンディングサービスは、国内だけでも非常に多くの種類が存在しています。
クラウドファンディングは、サービスごとに立ち上げられるプロジェクトの種類や方向性が異なりますので、思い描いているプロジェクトの目的や性質、利用者層などにマッチするサービスを選びましょう。
『CAMPFIRE』
『CAMPFIRE』は、国内最大手のクラウドファンディングサービスです。
プロジェクトは無料で作成することができ、土日祝日を除けば、審査後、最短即日で内容の公開が可能となっています。
サービス開始は2011年と、ごく最近ですが、誰にでも利用できる身近なクラウドファンディングサービスとして、国内で多くの人から利用されています。
『FAAVO』
『FAAVO』は、「地域を応援する」ことを目的とした、購入型のクラウドファンディングサービスです。
自分が盛り上げたい地域を選択し、そのエリアでどんな活動ができるか、サイト上に掲載して支援者を募ります。
例:
● 「自然が豊かな地元で、野外フェスを開催したい」
● 「過疎化に悩む地元を、特産物で盛り上げたい」
● 「駅に公共のコワーキングスペースを設置したい」
上記のような、地域の特色を活かしたプロジェクトが数多く掲載されています。
『Makuake』
『Makuake』は、サイバーエージェントグループが手掛ける、購入型クラウドファンディングサービスです。
スマートフォンでの操作性や決済方法の簡易さ、コンテンツの企画力など、サイバーエージェントならではの特徴がサービスのあちこちに活かされています。
『Makuake』最大の強みは、プロジェクトのプロモーションが、雑誌やインターネット上で行われる点です。サイバーエージェントの関連企業で繰り広げられるプロモーションによって、クラウドファンディングに詳しくない層にも、プロジェクトの存在を知ってもらいやすくなるでしょう。
自分でクラウドファンディングサイトを作ることも可能
「やりたいクラウドファンディングに対し、見合う条件のサービスが見つからない」
「自分がクラウドファンディングサイトを運営して、多くの人の夢を実現させたい」
「特定のカテゴリーに特化したクラウドファンディングサイトを作りたい」
など、上記のようなケースに当てはまる場合は、クラウドファンディングサイトを自分で立ち上げてしまうことも可能です。
個人のホームページや通販サイトを作るように、クラウドファンディングサイトも、専用のサービスやツールを使えば簡単に立ち上げることができます。
画面のカスタマイズ範囲やSNSとの連携機能など、サービスやツールによって若干の違いがありますので、同じサービスやツールを使って作成されたサイトを実際に訪問するなどして、使い心地やカスタマイズ性を体験すると良いでしょう。
おわりに
資金集めが行いにくい個人でも、クラウドファンディングサービスを使えば、プロジェクトの魅力を多くの人に伝えて支援してもらうことが可能です。
ただ資金を集めるだけではなく、プロジェクト実現後も、運営や支援者へのリターンなどやるべきことは沢山ありますので、資金を集めた後の計画もよく立てておきましょう。