法人登記は、会社を設立する際に避けて通れない手続きです。
法人登記の手続き自体は法務局などで書類を入手すれば個人でも行えますが、定款の作成や必要書類の準備といった、普段行わない作業が発生します。
会社の設立をスマートかつ問題なく終わらせるためにも、法人登記の意味や手順などを知っておきましょう。
法人登記で会社の情報を登録する
登記とは公的な帳簿に情報を登録することで、法人登記は、会社に関する情報を法務局に登録することです。
法人登記をした日が、事実上の会社設立日となります。
会社を立ち上げる場合は、法人登記を必ず行うことが法律で定められています。
法人登記を怠った場合の罰則も規定されていますので、会社の設立には法人登記が必須です。
法人登記後に得られるメリット
法人登記を行うメリットは、会社を法人化するメリットとも言えるでしょう。
法人登記を行うことによって会社の情報が公的に公開され、取引先や一般ユーザーは登記簿謄本を取り寄せて、会社の情報を調べられるようになります。
これにより、個人事業主の時は取引をしてもらえなかった相手でも、法人登記した情報を見て取引を認めてくれるケースもあるでしょう。
また、金融機関へ借入を申し込む際も、審査の際の信用度が個人事業主の頃と比べて圧倒的に高くなり、融資を受けやすくなります。
また、法人登記を行うことによって会社の印鑑証明書が発行できるようになるため、印鑑証明書を必要とする各種手続きや申請が行えるようになります。
法人登記の手順
以下からは、法人登記の流れを順番にご紹介します。
定款を作成する
定款とは、会社の事業目的や組織がまとめられた書類で、会社を立ち上げる際に必ず作成します。
法人登記には、公証役場で認証された「定款」を提出しなければなりませんので、法人登記の書類を揃える前に、まずは会社の定款を作成しなければなりません。
必要書類を準備する
1. 「登記申請書」
2. 会社の「定款」
3. 役員の「印鑑証明書」
4. 会社の実印を登録する「印鑑届出書」
5. 資本金の「払込証明書」
6. 役員の「就任証明書」
7. 監査役の「就任証明書」
8. 登録免許税15万円分の収入印紙
1の登記申請書は、商業・法人登記の申請書様式から様式をダウンロードすることができます。
どの様式を使えば良いかわからない場合は、法務局の窓口で申請内容を伝え、直接書類をもらうことも可能です。
管轄の法務局に書類を提出
法人登記は、以下3種類の方法を選択できます。
● 郵送で提出
● 窓口に直接持参
● インターネット
申請の際は必ず、本社所在地を管轄する法務局を調べておきましょう。
管轄の法務局は管轄のご案内:法務局から検索できます。
間違った法務局に提出してしまうと申請が無効になってしまいます。
なお、インターネットを使った申請は、ご自身のパソコンに登記システムを導入する必要があります。
窓口に行く必要がなく専用の機械を購入する必要もありませんが、オンライン申請が不安な場合は法務局の窓口に赴いた方が良いでしょう。
不備の訂正、取り下げ、再申請
提出した申請書や必要書類に不備があった場合は、修正を行います。
修正には代表者の印鑑が必要です。
また、申請期間中に申請をいったん取り下げることも可能です。
申請を取り下げた場合は、申請時に納めた登録免許税を再申請の時に利用できます。
修正が完了すれば、法人登記は完了です。
法人登記時の注意点
法人登記の手順はここまで解説した通りですが、会社設立にかかる準備は法人登記だけではありません。
また、法人登記の手続きを甘く見ていると、誤った内容で申請してしまったり、再申請で手間どって会社の設立日が大幅に遅れたりする可能性もあるため、不安な場合は専門家の力を借りることも視野に入れましょう。
法人登記後にできることを早めに済ませておく
法人登記が完了すると、会社の「登記簿謄本」と「会社の印鑑証明書」が取得できるようになります。
会社設立後は様々な届出が発生しますので、登記簿謄本と印鑑証明書は法人登記完了後に早めに取得しておきましょう。
専門家の力を借りることも視野に
法人登記は個人で行うこともできますが、司法書士や税理士、行政書士などの専門家に委託することも可能です。
法人登記に限っては、登記が行える司法書士に依頼する方法が最もスマートです。
ただし、会社設立後の税務を任せたい税理士や許可証の取得などを任せたい行政書士が決まっていれば任せても良いでしょう。
また、電子定款が行える専門家であれば、法人登記前の定款作成で発生する収入印紙代の4万円が無くなり、会社設立時の費用を節約できます。
おわりに
法人登記をした日は会社の設立日となり、会社を継続させていくあいだは重要な意味を持つ日付になります。
しかし、特別な意味を込めて設立日を設定していても、書類に不備があってその日に申請できなかったり、書類の準備に手間取って予定日までに申請を済ませられなかったりすることも考えられます。
不安な場合は専門家の力を借りることも考え、定款の作成や必要書類の準備などを、会社設立日前までにある程度進めておきましょう。