事業を行うにあたって、何はなくとも必要なのがオフィススペースです。しかし、オフィスを構える費用は、開業費用の中でも特に大きな出費です。
そこで、初期費用を抑えながら、すぐに利用できるオフィスとして人気を集めているのが、レンタルオフィスサービスです。
この記事では、レンタルオフィスを利用した時のメリット・デメリットについて、他のオフィス形態と比較しながら解説します。
レンタルオフィスとは?
レンタルオフィスとは、オフィスデスクやチェア、コピー機や会議スペースなど、一通りの設備が揃ったオフィススペースをレンタルできるサービスのことです。
利用人数や経営スタイルに合わせて、部屋のサイズや間取り、建物の立地など、希望に近い物件を選ぶことができます。
賃貸事務所との違い
貸事務所は、入居後に家具や設備などを自分で集めなくてはなりません。また、インターネット回線の契約や、電気や水道などの申込みなども、入居後すぐに使えるよう手配しておく必要があります。また、会議スペースや応接スペースを区切るための間仕切りの設置や、壁紙やフローリングの張替えといった内装工事も、必要に応じて済ませておく必要があります。
一方、レンタルオフィスには、オフィスに必要な家具や設備、内装などが初めから用意されていますので、入居前に自分たちで準備する必要がありません。
バーチャルオフィスとの違い
バーチャルオフィスとは、住所や電話番号を提供するサービスのことです。
「バーチャル」の文字通り、データ上はオフィスが存在していても、業務を行うスペースはありません。そのため、事業として認められないケースも多く、銀行口座の開設や各種労働保険の手続きも行えないことがあります。
レンタルオフィスは、住所や電話番号だけでなく、実際に業務を行うスペースもついてきますので、会社としての形態を一通り有しています。
レンタルオフィスを利用するメリット
レンタルオフィスは、初期費用が節約できるだけでなく、事業を運営するにあたって役立つサービスも利用できるなどのメリットがあります。
開業の初期費用を抑えることができる
レンタルオフィスの月額利用料は、建物の立地にもよりますが、坪単価の相場が約2~3万円となっています。2人利用のレンタルオフィスであれば、月額約7~12万円が相場です。
賃事務所の場合、築20年以内の物件だと、毎月約10~15万円前後、物件によっては約20万円の家賃になるものもあります。さらに、物件申込後、家具や設備の購入や内装工事も自分で行う必要がありますので、プラス約20~50万円の初期費用が必要です。
入居後すぐに事業をスタートできる
レンタルオフィスは、一通りの家具や設備がオフィス内に揃っているため、申込後すぐに事業を開始することができます。
また、受付や会計代行などのオプションサービスを利用できるレンタルサービスもありますので、開業して間もないころでも、事業をスムーズに行うことができるでしょう。
駅近くの一等地で事務所が手に入る
レンタルオフィスのほとんどは、駅近くの好立地に設けられています。利便性が良いため、お客様からのイメージアップにも繋がり、さらに法人登記も行えるため、会社としての信頼を早めに確率することができます。
レンタルオフィスを利用するデメリット
レンタルオフィスは、開業まもない会社にとっては非常に心強いサービスですが、複数年に渡る長期利用にはあまり適していません。
費用面や、内装デザインの制約、他の利用者とのトラブルといったデメリット面も理解したうえで、利用を検討しましょう。
費用が割高になる
開業直後の初期費用を大きく抑えられるレンタルオフィスですが、長期間利用し続けるほど、貸事務所よりもオフィスにかかるコストは割高になっていきます。
レンタルオフィスの利用料には、設備や家具のレンタル料も含まれています。そのため、最初の1年間は、家具や設備の購入費用を節約することができますが、何年もレンタルし続けていると、家具や設備をトータルで揃えた時の費用を、いずれ超えてしまいます。
自由に改装することができない
内装や外装デザインも、会社の立派な広告です。しかし、レンタルオフィスは、内装・外装のリフォームはおろか、オフィス内の設備も自由に交換することができません。
また、事業の拡大に伴って新しい社員を採用したり、部署を新設したりする場合は、別の広いレンタルオフィスや、新たな貸事務所用のオフィスに移らなくてはなりません。
他の利用者とのトラブル
レンタルオフィスは、複数の会社が同じフロアや建物に集まっています。似たような業種のスタッフと会話が弾み、交流などが生まれる機会でもありますが、プライバシーの侵害や情報漏えいなどのリスクもあります。
また、レンタルオフィスの中には、会議室やコピー機を他のレンタルオフィス利用者と共有しなければならないタイプもあります。
そのため、会議室や応接室を使いたくても、他の会社が既に予約していて使えなかったり、コピー機を長時間独占できなかったりと、周囲に気を遣って過ごさなければなりません。
サービスが突然終了することがある
レンタルオフィスは、サービスを運営している会社が、突然、倒産または事業から撤退することも十分考えられます。もし、新しい貸事務所の候補もなく、引っ越し費用も準備できていない状態でレンタルオフィスを退去することになれば、通常業務にも支障をきたしかねません。
おわりに
レンタルオフィスは、開業から事業が安定するまでは、非常に多くのメリットを得ることができます。
しかし、事業の拡大とともに徐々にデメリット面が現れるようになり、レンタルサービスの突然の終了というリスクを考えても、長期間の利用は慎重になるべきと言えます。
いつまでレンタルオフィスを利用するか、契約前にある程度スケジュールを計画しておき、新しい貸事務所の候補も少しずつ探しておくと良いでしょう。