飲食店を始めたいと思った時、まず立ちはだかるのが開業資金の調達です。
高額な費用が発生するとわかっていても、具体的にいくらかかるのかわからず、動き出せないという方も多いのではないでしょうか。
この記事では、これから飲食店を持ちたいと考えている方に向けて、開業費用の内訳や相場、
予算シミュレーションの方法などについて解説します。
飲食店の開業はいくらかかるのか
飲食店の開業には、大きく分けて3種類の費用が必要です。
まずは必要な費用の種類と内容を知っておきましょう。
飲食店に必要な準備物とは
飲食店を営むためには、まず店舗となる「物件」が必要です。
そのため最初に発生するのが、物件を購入するための費用となります。
次に、物件をイメージ通りのお店にするために、内装や外装のリフォームにかかる「工事費用」が必要です。
クロスや床の張替えといった見た目の部分だけでなく、水回り機器の交換や配線工事といった目に見えない部分の工事も発生します。
例えば飲食店であれば、吸引力の強い換気扇や厨房の設備などを設置することになります。
店舗となるスペースが確保できたら、次は営業するための「設備や家具」を用意します。
お客さんが座るテーブルやイス、食事をするためのナイフやフォーク、その他飲食店に必要なこまごまとしたアイテムを揃えていきます。
以上が、飲食店を開業するために必要な準備物です。
飲食店開業に必要となる主な費用3つ
飲食店を開業するためにかかる費用は、850~1,400万円が相場です。
項目別に費用の詳細を見てみましょう。
物件取得費用
・400~600万円
物件取得費用は、家賃と保証金がメインになります。
店舗用物件は面積が大きいため家賃が高額になりやすく、当月分と翌月分を支払わなければなりませんので物件取得にかかる費用も高額です。
それ以上に注意しなければならないのが、保証金です。
保証金とは敷金に当たる費用のことで、退去時に原状回復工事費用が差し引かれて戻ってきます。
物件取得時に支払う保証金は、家賃の半年分や10カ月分が相場です。
家賃と保証金だけでも高額になりますが、物件によってはさらに仲介手数料や礼金が発生することもあります。
飲食店用の物件であれば、400~600万円は予算を確保しておきましょう。
設備・備品購入費用
・調理機器代:100~200万円
・備品代:150~200万円
調理に必要な厨房の設備や、空調や換気扇、食事に使う備品や家具などの購入費用です。
厨房機器に関しては、既に設備が置かれている居抜き物件を選ぶなどして、設備購入費用を抑えることができます。
その他、飲食店では、
● レジ導入費用
● 従業員の制服代
● 従業員の求人広告費用
● お店の広告費用
などが発生しますので、家具や備品購入費用と合わせると約150~200万円は見ておいた方が良いでしょう。
店舗の内装・外装工事費用
・内装工事:120~240万円(設備工事を除く)
・外装工事:80~110万円
必要に応じて壁のクロスや床のフローリングを張り替えます。
店舗の雰囲気に合った照明なども用意しなくてはなりません。
内装工事は物件の規模によって費用が変動しますが、1坪あたり20~30万円が相場です。
外装工事は塗装の塗替えのみで済むケースが多く、塗装工事のみの場合は建物全体で80~110万円が相場です。
ただし物件によっては外装に手を加えられない所もあるため、内装に比べると外装工事の相場は低い傾向にあります。
開業以外の費用も含めてシミュレーションしよう
飲食店を続けていくためには、ある程度の運転資金を用意しておかなければなりません。
開業費に気を取られて運転資金を忘れてしまうと、売上だけで毎月の支払いをまかなわなければなりません。
すると、売上げが出なかった場合は個人資産を削ることになってしまいます。
運転資金は、物件の家賃、水道光熱費、人件費、食材の仕入れ代などを予測し、できれば開業後3カ月分を確保しておくことが望ましいです。
開業費用はどうやって用意する?
開業費用は1,000万円以上かかることもあり、運転費用も合わせると1,500万円は手元に用意しておかなければなりません。
このように高額な資金を集めるためには、非常に多くの時間がかかります。
開業資金を早めに準備する方法としては、事業を始めて間もない人でも借り入れしやすい「日本政策金融公庫」の融資を活用すると良いでしょう。
ただし、借り入れを行った場合は、月々の返済額を運転資金に含めて計算することを忘れてはいけません。
おわりに
飲食店の開業には、物件にかけるお金と、設備の購入にかけるお金、店舗の改装にかけるお金の3種類が必要です。
それぞれがどのくらいかかるか把握することで、具体的な予算シミュレーションができるようになるでしょう。
もし開業費用が高額になりすぎると感じたら、居抜き物件を利用したり店舗のイメージに近い物件を選んだりして、設備購入費用や内装工事費用を抑えるなどして無理のない予算に近づけていきましょう。