近年は、ネットオークションやショッピングサイトを通じて気軽に物を売買できるようになりました。
こうした中古品の売買で生計を立てている人も少なくはありません。
しかし、中古品の売買を事業とする場合は、「古物商(こぶつしょう)許可」が必要です。
この記事では、古物商許可が必要になるケースや、必要になった時の申請方法などについて解説します。
古物商と古物商許可とは
古物商とは古物を取り扱う事業のことで、「古物営業法」の中で定められています。
古物については、「古物営業法」の中で以下のように定義されています。
● 一度使用されたもの
● 未使用だが、取引が一度でも行われたもの
● 新品のように手入れをされているが、一度使用されているもの
中古のカバンや家電はもちろんのこと、商品券や乗車券、美術品なども古物に該当します。
これら古物を販売する事業を行うためには、「古物商許可証」が必要です。
古物営業法は何のために存在するのか
古物営業法の目的は、盗品の転売を阻止することです。
美術品や商品券といった古物は転売目的で盗まれることが多く、もし盗まれたものが市場に流れてしまうと、盗品と知らずに使っていた人が疑いをかけられてしまいます。
古物商許可が必要なケース・必要ないケース
古物商許可が必要になる第一の条件は、「古物」を取り扱っているかどうかです。
ですが、古物の販売が事業目的ではない場合は古物商の許可は必要ありません。
そして、事業目的で古物に該当するものを取り扱っていても、許可が必要ないケースもあります。
以下から、古物商許可が必要なケースとそうでないケースをそれぞれ整理しましょう。
古物商許可が必要なケース
● 古物を販売するお店(リサイクルショップなど)
● 古物をレンタルするお店
● 古物を修理して販売するお店
● 古物から取り出した部品を販売するお店
● 古物販売の手数料を受け取っているお店
古物を売るだけでなく、古物で利益を発生させる場合も許可が必要です。
古物商許可が必要ないケース
● 私物をネットオークションで売却した場合
● 私物をリサイクルショップに売却した場合
ただし上記の行為で生活できるほどの収入を得ている場合は、許可が必要になることもあります。
なお、卸売・小売業も仕入れた商品を売ることを生業としていますが、この業種の場合は仕入れの目的が「商品を使用すること」ではないため、古物商とはみなされません。
古物商許可の申請方法
古物商許可の申請は、古物商を営む営業所を管轄する警察署で行います。
自宅で古物商を営む場合は自宅の住所を管轄する警察署、店舗を構えて行う場合は店舗所在地を管轄する警察署に届出を行います。
申請様式は警察署のホームページからダウンロードすることもできますが、警察署でもらうことも可能です。
個人事業主として古物商を営む方は「個人用」の書式を、法人の場合は「法人用」の書式を入手しましょう。
古物商許可に必要なもの
古物商許可の必要書類は管轄の警察によって異なります。
以下は、一般的に提出を求められる書類の一覧です。
種類 | 内容 |
---|---|
申請費用19,000円 |
申請費用のみの金額です。 その他の必要書類申請にかかる費用は含まれません。 |
古物商許可申請書 | 個人・法人のうち該当する書式を提出。 |
住民票 | 法人の場合は事業主・役員・管理者全員分が必要。 |
身分証明書 | 自治体の窓口で取り寄せる。 |
略歴書 | 過去5年間の略歴を記載したもの。 |
登記されていないことの証明書 |
法務局で取り寄せる。 成年被後見人に該当しないことを証明する資料。 |
誓約書 |
書式は管轄の警察署で取り寄せる。 古物商許可に違反する事項に該当しないことを誓約する書類。 |
賃貸契約書のコピー |
持ち家で営業する場合は不要。 事業用に駐車場も賃貸している場合は駐車場の分も必要。 |
ホームページのプロバイダの資料 | ホームページ上で営業する場合に必要。 |
登記事項証明書 | ※法人の場合 |
定款 |
※法人の場合 「古物商を営む」ということが記載されている必要がある。 |
古物商許可の交付には時間がかかる
古物商の許可は、管轄の警察署にもよりますが30~40日前後かかります。
また、土日や祝日、年末年始等は交付までの日数に含まれません。
また、申請内容に不備があった場合はもう一度申請し直す必要があり、その分交付までの期間が延びてしまいます。
申請に時間がかかると営業日に間に合わない恐れがあり、もし未許可の状態で古物を売買すると懲役3年または100万円の罰金となりますので、申請は早めに着手しましょう。
おわりに
今や個人でも不用品や私物を気軽に売買できるようになったため、これらをうまく利用して収入を得ている人もいるかもしれません。
しかし、古物の売買は法で取り決められており、もし売れ行きが好調だからと古物商許可を取らずに事業化してしまうと、厳しい罰を受ける恐れがあります。
どのようなものが古物に該当するのか、どのような時に古物商許可が必要なのか必ず知っておきましょう。