オフィス移転にかかる費用は、「旧オフィス」と「新オフィス」それぞれで発生します。
引越し業者の選定以外にも、旧オフィスの退去手続きや新オフィスの内装工事など様々な手続きが同時に発生するオフィス移転も、必要な支払いを先に把握しておくことでやるべきことがあります。
費用がわかればオフィス移転は楽になる
オフィス移転を円滑に進めるために、まず必要なのは「これからやることのリスト」です。
リストが早めに作成できればかかる期間や連系する部署が把握でき、スムーズなオフィス移転となるでしょう。
しかし初めてのオフィス移転となると、リストを作ろうにも何から調べれば良いかさえわからないものです。
そのようなときは、「一体何にどのくらいの費用がかかるのか」を洗い出していくと良いでしょう。
移転に必要な費用を把握できるだけでなく、自然と「やることリスト」も埋まって行きます。
旧オフィスと新オフィスに分けて費用を調べる
移転費用について調べる時は、「旧オフィス」にかかる費用と「新オフィス」にかかる費用を分けて考えることがポイントです。
やることリストも必然的に埋まり、どのタイミングで発生する費用かも整理しやすくなります。
旧オフィスの退去時にかかる費用一覧
旧オフィスの退去では主に、原状回復のための工事とゴミの処分費用が発生します。
旧オフィスでやることは新オフィスに比べると少ないため、先にこちらをしっかりまとめておくと良いでしょう。
原状回復工事費
・㎡あたりの相場…約15,000円
・坪単価の相場…約5万円
約100㎡(30坪)の事務所であれば150万円程度が原状回復費用の目安になります。
入居後に物件に設置した設備や間仕切り壁は、借主が退去時に撤去しなければなりません。
このように借主が入居時の状態に戻すことを「原状回復」と呼びます。
オフィスの内装や広さによって費用は変動しますので、複数のリフォーム業者に相見積もりを取って妥当な金額ラインを割り出しましょう。
ただし物件によっては原状回復の施工業者が指定されていることもありますので、退去の際は賃貸契約書によく目を通しておきましょう。
家具やゴミの処分費
・3,000~7,000円/1台
● パソコンの液晶ディスプレイなど…2,000円前後/1台
● 1人がけのソファや小型のテレビ・冷蔵庫など…3,000円前後/1台
● 2人がけ以上のソファやデスクなど…7,000円/1台
10人前後の小規模オフィスであれば総額の処分費用は約6~8万円前後、20人以上の中規模以上のオフィスでは20~30万円、またはそれ以上かかることもあります。
処分する家具をリストアップして早めに産廃業者に見積もりを取り、最安値で処分できるようにしましょう。
移転先のオフィスでかかる費用
新オフィスでは引越し作業だけでなく、オフィスを使える状態にするための様々な手続きが発生します。
特に電気や水道などのインフラ設備は、引っ越し当日からすぐに使えるように早めに準備しておきましょう。
契約関連の費用
● 前家賃…1カ月分/月の途中から入居する場合は当月の日割り家賃+翌月分家賃
● 礼金…無しor家賃1カ月分
● 敷金・保証金・委託金…6~12月分
● 仲介手数料…家賃1カ月分
● 火災保険料…年間3~5万円
前家賃とは入居開始月の家賃のことで、契約時に敷金や礼金などと一緒に支払います。
また、移転先の物件を探すために仲介業者を利用する場合は、「仲介手数料」が発生します。
その際、賃貸物件の仲介手数料は「家賃の1カ月分」と『宅地建物取引業法』によって設定されており、さらにその支払いは契約に至った場合のみとされていますので覚えておきましょう。
引っ越し業者に支払う費用
・小規模オフィス…20万円
・40人以上の中規模オフィス…60万円以上
オフィスの事業形態にもよりますが、社員一人につき3万円程度が引っ越し費用の相場です。
インフラ整備費用
・60~150万円
インターネットや電話回線の引き込み工事、電気容量の変更などインフラ設備の整備にかかる費用です。
社員一人につき3~7万円が相場です。
なお、インフラ設備の契約形態は物件によって様々です。
物件の管理費・共益費に電気代が組み込まれていることもあれば、借主が電力会社と直接契約しなければならないこともあります。
物件契約時に、借主側で契約が必要なものと不要なものをよく確認しておきましょう。
リフォーム関連の費用
● 内装リフォーム費用:坪単価15~20万円
● オフィス家具の購入費用:10~15万円/1人あたり
内装リフォームでは主にパーテーションの設置が行われます。
また事務所の雰囲気に応じてフローリングにタイルカーペットを張るなどのリフォームが必要になることもあるでしょう。
内装リフォームをなるべく小規模で済ませるためには、できるだけ移転後のオフィスの雰囲気に近い物件を選んでおくことがポイントです。
また、凝った内装にするほど工事内容は増え、坪単価は高くなります。
特に役員室周りの内装は上質な素材が使われることも多いため、他のエリアに比べて㎡あたりの工事費用は割高です。
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おわりに
オフィス移転と聞くと、旧オフィスから新しいオフィスに荷物を搬入する作業がメインのように考えてしまいがちです。
しかしオフィス移転で最も時間がかかるのは、旧オフィスの事後処理と新オフィスの準備です。
物件を契約しただけで安心せず、いつ何の支払いがどのくらい発生するのか、移転完了日まで視野に入れて予測しておきましょう。