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初めて訪れる街でも通勤で毎日通る道でも、真っ先に目に入ってくるお店といえば「路面店」です。誰の目にも留まりやすく足を運びやすい路面店は、お店を開く上で申し分のない立地に見えますが、出店場所選びを誤れば、路面店といえど集客に繋げることはできません。この記事では、路面店のメリットとデメリットを紹介しながら、出店場所選びのポイントも解説します。
路面店と他の出店場所の違い
お店の出店場所は、
● 路面店
● 空中店舗
● 地下店舗
● 商業施設内の店舗
の4つに分けることができますが、それぞれには異なるメリットとデメリットがあります。
路面店
「路面店」とは、人が行き交う大きな通りに面しているお店のことです。建物の一階に建っているものが路面店と呼ばれ、二階以上や地下にあるものはそれぞれ「空中店舗」、「地階店舗」と呼ばれます。
空中店舗
「空中店舗」とは、通りに面した建物の、二階以上に入っているお店です。ショッピングモールなどの商業施設内に入っているテナントは除きます。
地階店舗
「地階店舗」は、空中店舗に対し、建物の地下に入っているお店を意味します。こちらも商業施設の地下にあるものは除きます。
商業施設内の店舗
ショッピングモールの中で営業しているお店のことです。商業施設の一階にあるお店は路面店とは呼ばれません。
路面店を選ぶメリットは?
路面店の大きな強みは、多くの人の目に留まりやすいということです。集客が何よりも売上に繋がる店舗において、多くの人に存在を知ってもらえることは大きなメリットといえるでしょう。その他にも路面店には、商業施設内に出店した時に比べて自由度が高いという隠れたメリットもあります。
前を通った人に足を運んでもらいやすい
路面店は常に、多くの人の目に何度も触れることができます。人は、会った時間の長さよりも、接した回数が多いほど安心感を得ます。入ったことがないお店の利用に抵抗を持つお客さんでも、毎日お店の前を取っているうちに、お店に親近感を覚えて足を運んでみたくなるでしょう。
また、通りに面している路面店は、空中店舗や地下店舗と違って、外から店内の様子をうかがえるという強みがあります。空中店舗など建物の奥にあるお店は、
建物に入る
↓
店舗の場所を調べる
↓
お店を探す
という段階を得なければたどり着けません。
一見なんてことのないステップのように感じますが、建物に入るまでの手間を面倒に感じる人は決して少なくはないのです。
商業施設に出店した時のような制約がない
ショッピングモールなどの商業施設は、中に出店するテナントに様々な制約を課しています。例えば、
● ショッピングモールのイメージを損なうような外観やレイアウトにしないこと
● 毎日の売上やできごとを本部に報告すること
などです。
路面店にはショッピングモールのような制約は一切ありませんので、サービスや商品の雰囲気に合わせて内装や外観を自由にアレンジできます。
路面店を選ぶデメリットは?
集客力という大きなメリットがある路面店ですが、以下のようなデメリットもあります。
賃料が高い
路面店が集客しやすい人気の立地であることは、店舗経営者にとっては常識です。そのため、路面店は他の出店場所に比べると、賃料が高く設定される傾向にあります。路面店を選んだばかりに、月々の売上が賃料で圧迫されては本末転倒ですので、出店前に現実的な売上目標を立てておかなければなりません。
お店そのものの集客力が問われる
商業施設内の店舗は、その商業施設の利用者に「ついでに足を運んでもらえる」というメリットがあります。「ショッピングモールで時間が余ったので、なんとなく入ったお店でつい買い物をした」という経験をお持ちの方も多いのではないでしょうか。
これに対し、路面店はお店単体の力で集客しなければなりません。いくら人通りが多い路面に出店しても、まずお店を気に入ってもらえなければ足を踏み入れてもらえず、常連客の確保も難しいでしょう。
路面店の出店エリアを選ぶ上でチェックしておきたい5つのこと
路面店を選んだからといって、絶対にお店が成功するとは限りません。お店が成功するカギを握るのは、「出店エリア」です。出店エリアを選ぶ時に知っておきたい、5つのチェックポイントをご紹介します。
1.路面店が繁盛するかどうかは「立地調査」にかかっている
出店する立地を選ぶ時は、
● 昼間・夜間の人口の違い
● 平日・休日の人通りの違い
● 住んでいる世帯の数
● 大きな道路や線路の位置
といったあらゆるエリアの特性を調べておきましょう。
いくら人の目に触れやすい路面店でも、エリアの雰囲気に馴染んでいないと、周囲から浮いて足を運んでもらいにくくなります。
2.見込み客がいるエリアに出店する
せっかく出店しても、お店を利用する「見込み客」がエリア内に存在しないと、集客が非常に厳しくなってしまいます。例えば、学生やビジネスマンが多いエリアの路面に、高級志向のレストランを出店しても、お金に余裕がない学生やビジネスマンには歓迎されにくいかもしれません。
エリアの立地調査情報から、
● ビジネスマンが多い
● 学生が多い
● ファミリー層が多い
● 単身者が多い
● 高齢者が多い
といった利用者層を分析し、お店を出店した時に見込み客が確保できるか確認しておきましょう。
3.人気エリアにも人通りに差がある
沢山の人で賑わう繁華街や主要駅周辺のエリアでも、線路や道路を1本隔てただけで人通りが激減することがあります。賑わっている部分だけを見て安心せず、出店を予定している場所を実際に歩いて、人の流れを体感しておきましょう。
4.路面店でも集客するための「動線」は必須
路面店だからといって、何もしなくても人が吸い込まれるようにお店に入ってくれるわけではありません。お店にスムーズに入店してもらうためには、ターゲット層の「動線」上に出店するよう意識しましょう。
例えば、居酒屋や飲食チェーンであれば、サラリーマンが多く行き交う駅までの通り道が動線になり、若者向けのスイーツショップや雑貨店なら、ファッションビル同士を結ぶ線が動線となるでしょう。
5.競合店舗の分析は路面店でも欠かせない
競合店舗の量や影響力次第では、路面店の集客力すらかき消されてしまう恐れがあります。路面店の集客力に甘んじず、競合店舗の試みをいち早く察知し、自分たちのお客さんが流れないよう、常に競い続けなくてはなりません。
路面店の出店エリアを立地調査する時のポイント
現地調査は「実際に歩くこと」が大切
マーケティング会社や自治体が公開している統計情報などを使えば、出店エリアの情報を把握できます。しかし、現地調査をする時、何よりも大切なのは、実際にエリアを歩いてみて雰囲気を肌で感じることです。
「意外と平日でも人通りが多いな」「こんな所に人気の競合店があったんだな」「車がないとここまで歩くのは大変だな」といった、実際に歩いてみなければ気づけない情報を入手することこそが、現地調査を行う真の目的といえるでしょう。
お客さんの行動をシミュレーションしてみる
現地調査の時間を惜しんで、車やタクシーで出店エリアを移動しては意味がありません。
● お客さんが動線をどんな思いで歩くか
● 歩いているあいだどんな景色を見ているか
● お店の前を通る頃はどんな気持ちになっているか
などをシミュレーションすることで、お店に来た人が本当に求めているサービスを提供できます。
「視認性」を確認する
人の目に留まりやすいことを「視認性が高い」といいます。路面店は視認性が高い出店形態ですが、中には周囲の景観に紛れてしまったり、看板や外観が周りの建物に似ていたりして、通行人の目に留まりにくく視認性が低い路面店もあります。
現地調査の際は、出店予定のお店の視認性も必ずチェックし、うっかり通り過ぎてしまうような店構えにならないよう注意しましょう。
おわりに
路面店は空中店舗や商業施設内の店舗と違って、エリア内の不特定多数に認識してもらいやすいという強みがあります。しかし、出店した道路の人通りが少なかったり、ターゲットとなる客層が存在しないエリアを選んだりすれば、路面店の強みを活かせません。路面店の集客力に頼り過ぎず、他の出店場所のメリットや路面店のデメリットなども知って、自分のお店をより多くの人に知ってもらう方法を、現地調査などで分析しましょう。