これから事業の開始を検討している方、または自宅で仕事を行っている方は、事務所をかまえるべきかどうかでお悩みではないでしょうか?
自宅とは別に事務所をかまえることで、思いがけないメリットを得られることがあります
今回は、自宅で行える事業でも、事務所をかまえるべき3つの理由について、それぞれの内容や注意点も踏まえたうえで解説します。
事務所の開設は労力が必要
仕事が自宅で行える事業であれば、事務所を自宅にしても、事務所用の物件を別途手配しても、どちらでも業務に大きな影響はありません。
また、事務所をかまえるためには、多くの労力と時間、そして費用を伴います。
事務所をかまえるために必要なこと
事務所をかまえるためには、事務所用の物件探しや、開業届けの内容変更、その他お取引先への住所の連絡といった様々な準備が必要です。
さらに、事務所分の家賃の支払いや通勤が発生し、月々の固定費が大きく増えるだけでなく、生活にも大きな変化が生じます。
このような理由から、せっかく自宅で仕事ができる環境なら、手間と費用をかけてまで、わざわざ事務所をかまえたくないと思ってしまう方も多いのではないでしょうか?
しかし、事務所をかまえることには、自宅を事務所にしているときには受けられない、多くのメリットが存在します。
自宅と別に事務所をかまえるべき3つの理由
自宅で開業が可能な事業で事務所をかまえるべき理由には、主に以下の3つが挙げられます。
1.顧客の信用を得やすい
自宅を事務所にしていると、顧客が電話をかけた際、家族が電話に出てしまったり、ついプライベートの口調になってしまったりと、緊張感を削ぐ場面が増え、顧客の信用を得にくくなってしまいます。
また、自宅を事務所にしていると、こちらにはそのつもりがなくても、お取引先や顧客に「事務所がないので自宅で仕事をしている」という、マイナスのイメージを与えてしまう恐れがあります。
さらに、打ち合わせの場所が外に限られるため、資料を何度も外に持ち出さなくてはならず、顧客情報の紛失や流出が原因で信用を落とすかもしれません。
事業用の事務所をかまえていれば、仕事の連絡を行いたいときは事務所に一本で通じるようになり、さらに「事務所に回す経費の余裕がある」というプラスのイメージを与え、顧客の信用を得やすくなるでしょう。
2.仕事とプライベートの切り替えができる
自宅とは別に事務所を構える最大のメリットは、何といっても気持ちのオンオフの切り替えができる点です。
自宅を事務所にしていると、仕事用の道具や資料がいつでも好きなときに用意でき、一見便利なように思えます。しかし、このような環境では、つい時間の区切りを
設けずに、深夜や早朝まで余計に時間をかけて仕事をしてしまうものです。
その結果、業務の効率が落ち、さらには不規則な生活リズムとなって体調を崩してしまうと、業務時間のロスとなるばかりか、顧客の信用さえも失う恐れがあります。
事務所を別にかまえ、テレビやソファ、ベッドなど、くつろぐ設備と完全に切り離すことで、仕事にも集中しやすくなり、さらなる業務の効率化が可能になるでしょう。
3.経費処理が行いやすい
自宅を事務所にする最大のデメリットといえば、家賃の経費処理が複雑化してしまう点です。
自宅兼事務所として借りている物件の家賃は、経費処理の際、自宅として使う面積と、事務所として使う面積を按分したうえで、事務所として使う面積だけを経費として申請しなければなりません。
そのほか、購入した家具や設備を、経費にするか生活費にするか悩む機会も多くなり、ただでさえ複雑な経費処理に、余計な手間が増えてしまいます。
事務所を自宅から切り離し、単独で経費処理を行うことで、月々の会計業務もシンプルになるでしょう。
ライフスタイルに応じた選択を
このように、事務所を自宅と別にかまえることには多くのメリットがありますが、ライフスタイルに応じた選択も重要です。
自宅開業が良いケースもある
「お子さんが小さく、子育てをしながら通勤するのは大変」という方や、「家事や育児を夫婦で分担したい」という方には、自宅で仕事が行えることには大きなプラスの意味があります。
通勤のためにお子さんを預ける必要もなく、家族のふれ合いの時間を長く確保できる点は、自宅で仕事をできる最大のメリットです。そのため、このようなケースでは、無理に事務所を構えても大きなメリットが得られないかもしれません。
事務所の強みを活かせるかどうか
せっかく事務所をかまえても、肝心の事業が機動に乗らなければ、余計な出費を増やすだけになってしまいます。
事業が軌道に乗る初めのうちは、自宅で仕事を行い、業務の規模が大きくなり、仕事とプライベートをすっきり分けたくなったときに、立派な事務所をかまえることができるよう、計画的に準備を進めると良いでしょう。
おわりに
自宅とは別に事務所をかまえることには、プライベートとの切り替えや、経費処理のスムーズさなど、様々なメリットが存在します。
しかし、事務所をかまえるということは、その分、管理するものが増えるということでもあります。現在の事業の状態で新たに事務所をかまえるべきか、ライフスタイルとよく相談しながら、最も相応しい選択肢を見つけましょう。