新規開業にあたって資金を調達する際、金融機関からの融資も、選択肢のひとつとなります。
その際、候補となる金融機関は、地方銀行や大手メガバンクなど様々な選択肢がありますが、政府が出資して運営する「日本政策金融公庫」も例外ではありません。
この記事では、日本政策金融公庫で受けられる、新規開業におすすめの融資制度を6個ご紹介します。
日本政策金融公庫とは
日本政策金融公庫とは、財務省が管轄する、政府系の金融機関のことです。
日本政策金融公庫では、今回ご紹介する、新規開業のための融資だけでなく、業績悪化や経営破たんの際に利用できる融資や、企業のIT化や海外進出に向けた融資など、様々な融資制度が用意されています。
開業に関する融資でも、一般的な普通貸付のほか、女性や35歳未満の起業家に向けたものや、新規事業の立ち上げに関するものなど多岐に亘るため、ご自身の起業の方向性に合った融資を選ぶと良いでしょう。
また、これらの融資は、大企業や法人化した会社だけでなく、小企業や個人事業主などでも利用が可能です。
小規模企業の開業でも融資が利用可能
日本政策金融公庫の融資を利用できるのは、法人や大企業だけではありません。
日本国内の企業や個人事業主であれば、事業の規模や法人化の有無に関わらず、融資を利用することができます。
一般的に、小規模企業や、個人事業の開業は、金融機関の場合、融資の審査が厳しくなってしまいます。
しかし、日本政策金融公庫であれば、規模が小さかったり、実績がなかったりする企業や個人事業主でも、一定の条件を満たすことができれば、比較的積極的に融資を実行してもらえます。
開業資金の融資を、他の金融機関で受けられるかお悩みの方にとって、心強いサポートとなるでしょう。
【新規開業向け】日本政策金融公庫の融資制度6個
以下は、日本政策金融公庫が実施している、新規開業向けの融資制度です。
それぞれ利用条件や融資額、返済期間が異なりますので、開業後の経営状況などをしっかり分析したうえで、適したものを見つけましょう。
普通貸付
■対象
・すべての事業主(金融、ギャンブル、風俗業等を除く)
■限度額
・運転資金:4,800万円
・設備資金:4,800万円
・特定設備資金:7,200万円
■返済期間
・設備資金:10年以内
・特定設備資金:20年以内
・運転資金:7年以内
設備資金とは、店舗やパソコンなど設備の購入に要した資金のことです。
特定設備資金とは、何らかの事情があって、事務所を移転したり事業変更を余儀なくされたりしたときに、かかった費用を指します。
新規開業資金
■対象
・新しく事業を始める人、または事業開始から約7年以内の事業主
ただし以下のような要件を満たすこと
・雇用の創出を伴う事業を立ち上げるとき
・勤めている企業と同じ業種の事業を立ち上げるとき
・「認定特定創業支援事業」を受けて事業を立ち上げるとき
・民間の金融機関との協調融資を受けて事業を立ち上げるとき
など
■限度額
・7200万円
※うち運転資金は4,800万円
■返済期間
・設備資金:20年以内
・運転資金:7年以内
女性、若者/シニア起業家支援資金
■対象
・新しく事業を始める人、または事業開始から約7年以内の事業主
さらに以下どれかの条件に当てはまる事業主
・女性
・35歳未満
・55歳以上
■限度額
・7200万円
※うち運転資金は4,800万円
■返済期間
・設備資金:20年以内
・運転資金:7年以内
再挑戦支援資金(再チャレンジ支援融資)
■対象
・新しく事業を始める人
さらに以下の条件を満たすこと
・廃業履歴があること
・やむを得ない事業により廃業していること
・廃業時に抱えた負債が、開業の支障にならないと見込めること
■限度額
・7200万円
※うち運転資金は4,800万円
■返済期間
・設備資金:20年以内
・運転資金:7年以内
新事業活動促進資金
■対象
・第二創業を図る人、または第二創業から約5年以内の人
ただし、都道府県知事の「経営革新計画の承認」や、「中小企業等経営強化法」に関する認定などを受ける必要がある
■限度額
・直接貸付:7億2,000万円
※うち運転資金は2億5,000万円
・代理貸付:1億2,000万円
■返済期間
・設備資金:20年以内
・運転資金:7年以内
中小企業経営力強化資金
■対象
下記すべてを満たすこと
・異分野の中小企業と連携し、事業を新規開拓すること
・中小企業等経営強化法で定める、認定経営革新等支援機関の指導、助言を受けていること
■限度額
・7200万円
※うち運転資金は4,800万円
■返済期間
・設備資金:20年以内
・運転資金:7年以内
おわりに
日本政策金融公庫では、国内すべての企業や個人事業の開業に向けた、様々な融資制度が用意されています。
どの融資も、比較的借り入れ条件が良いため、実績のない小企業や個人事業主にとっては、非常に頼もしい存在となるでしょう。
ただし、借り入れの際は、融資の種類に応じた条件を満たさなければならず、経営の見通しが立たない状態で高額な融資を受けることはできませんので、まずは日本政策金融公庫の窓口で、事業の方針についてよく話し合うことが大切です。