魅力的な駅は、もはや鉄道ファン以外も楽しめる観光スポット。日本全国には、鉄道に詳しくない方でも楽しめるような、おしゃれで楽しい駅が沢山存在します。
この記事では、旅行の思い出作りにぴったりな、ちょっとユニークでおしゃれな全国の駅をご紹介します。
アンダーグラウンドの魅力に浸る!「土合駅」(群馬県)
群馬県利根郡みなかみ町にある「土合駅(どあいえき)」は、その特徴的な構造から「日本一のモグラ駅」と呼ばれており、観光スポットとしての側面も持つ駅です。
「関東の駅百選」にも認定された土合駅の最大の特徴は、下りホームに向かうまでの非常に長いトンネルです。上りホームと下りホームの標高差は、なんと70m。駅舎から下りホームに辿り着くまでには、338mもある462段の階段を徒歩で降りなければなりません。
ユニークな構造が生まれた理由は、土合駅が複線化された際に、清水トンネル内に下り線を後付けしたことによるもの。一度見たら忘れられない、地下に吸い込まれそうな下り階段の独特の雰囲気は、テレビやメディアでも度々紹介されています。
神秘的な体験ができる唯一無二の駅
土合駅のエントランスには、「ようこそ日本一のモグラえき土合へ」と書かれた味わい深い手書きの看板が掲げられています。下りホームまでの階段を下りてみると、ひんやりとした空気は漂うものの、暗くじめじめとした雰囲気はありません。地下ならではの神秘的でアンダーグラウンドな雰囲気は、他ではなかなか体験できないロマンに溢れています。
探検気分が味わえる観光スポットとして、自動車を使って駅まで訪れる観光客も増えているようです。
京友禅の柱で彩られた「嵐山駅」(京都府)
通称「嵐電(らんでん)」の名でも親しまれる京福電気鉄道嵐山本線には、インスタ映えスポットとしても注目されている「嵐山駅」があります。2013年にリニューアルされた際、改札口が撤去されたため、切符を買わなくても駅敷地内に入れるようになりました。
嵐山駅に到着すると、真っ先に目に飛び込むのが、アクリルポールに包まれた京友禅の柱です。「キモノフォレスト」と呼ばれる、駅敷地内に約600本並べられた京友禅の柱は、デザイナーの森田恭通氏によるデザイン。使用されている京友禅も、大正時代から続く京友禅の老舗「亀田富染工場」から森田氏が寄り直ぐって選んだ柄です。
昼間は京友禅の鮮やかな色や柄を自然光の下で楽しむことができますが、夜になると、ポールに内蔵されたLEDが点灯して京友禅を照らし、幻想的な空間へ変わります。
散策しながら和の趣を堪能できる駅
嵐山駅には、キモノフォレスト以外にも沢山の観光スポットがあります。「着物の小径」と呼ばれる京友禅のポールでできた小径を抜けると、龍が印刷された球体が置かれた「龍の愛宕池」に到着。愛宕山の伏流水が引かれた池の中には、沢山のお賽銭も投げられています。
散策に疲れた時は、駅敷地内の足湯で疲れを取ることも、和風のベンチでお茶を楽しむこともできる嵐山駅。約3,000本の竹や、桜や紅葉の庭園など、四季を楽しめる風光明媚な駅で、日常を忘れてゆったり過ごしてみてはいかがでしょうか。
内装だけじゃない!おしゃれで楽しい駅舎にも注目
駅の内装だけでなく、おしゃれな駅舎が注目されている駅もあります。
宇治山田駅(三重県)
宇治山田駅は、伊勢神宮への道中で見かけることのできる駅です。国の登録有形文化財にも指定されたクリーム色の荘厳な外観は、昭和初期のレトロな佇まいがそのまま残されています。八角形の窓や近代風の装飾、スペイン瓦の屋根など、ひと目見ただけでその風格を目に焼き付けることができるでしょう。
宇治山田駅からは伊勢神宮の内宮・外宮行きのバスも出ており、皇室や内閣の伊勢神宮参拝時の乗降駅としても使われるため、貴賓室も設置されています。
真岡駅(栃木県)
栃木県にある真岡鐵道「真岡(もおか)駅」は、SLを模した駅舎が特徴的な駅です。
2013年には「SLキューロク館」もオープンし、車両の展示や乗車見学なども行われています。土日祝日は2台のSLが運行し、鉄道グッズの販売コーナーやキッズスペースも設置されていますので、乗り降りのための駅としても、お子様連れのおでかけスポットとしても楽しめること間違いなしの駅です。
おわりに
旅行や移動でつい通過してしまう駅も、じっくり見学してみると、土地の魅力や鉄道の歴史が詰まっていることがわかります。
観光スポットとしても注目されている駅なら、移動のついでとしてだけでなく、お出かけの目的地としても十分楽しめるかもしれません。鉄道旅行の際は、ぜひ乗降駅の歴史もチェックして、旅先の魅力をより深く知ってみると良いでしょう。