家や店舗で行える省エネ対策として、照明のLED化が注目されています。
従来の白熱電球や蛍光灯に比べて長寿命である点や、高い節電効果などがLEDの主な特徴として知られていますが、LEDには、それ以外にも様々な優れた特徴があります。
この記事では、LEDの基本的なしくみのほか、LEDがもたらす3つのメリットとその理由について解説します。
高い節電効果をもつLEDのしくみ
LED照明は、優れた省エネ効果を持つ照明として、個人・企業に関わらず全国で導入が促されています。
大手メーカー数社も、既に白熱電球の生産を終了し、LEDの開発・改良に力を入れ始めました。
一体なぜ、LEDが国の省エネ対策の一貫として、これほどまでに推奨されているのでしょうか?
LEDとは
LEDとは、「発光ダイオード(Light Emitting Diode)」を略したものです。
照明の種類には、白熱電球・蛍光灯・LEDが存在します。
白熱電球は、フィラメントと呼ばれる細い線に電流が流れた時、その摩擦によって発光します。
蛍光灯は、水銀ガスが入った管の中で電子が発生し、管の外側に塗られた蛍光塗料を通って、目に見える光となって発光します。
一方、LEDは、プラスの電気を帯びた半導体と、マイナスの電気を帯びた半導体がそれぞれ電気を流し合い、プラス電気とマイナス電気の衝突を利用して発光しています。
LEDの高い節電効果
3つの照明のしくみを比べると、LEDは、非常に少ない手間で発光していることがわかります。
そのため、LEDは、少ない電力で効率的に発光することができ、使用中も、無駄な電力を消費しません。
その結果、従来の白熱電球に比べると、約4の1という少ない消費電力で、同じ明るさを発揮することができます。
照明をLEDに変える3つのメリット
LEDのメリットは、省エネ効果や節電効果だけではありません。
戸建て住宅だけでなく、店舗の業務用照明としてもおすすめできる、3つのメリットを持っています。
LEDは長寿命
LED最大のメリットは、寿命が長いことです。
照明の種類ごとの平均的な耐用時間は、以下のようになっています。
- 白熱電球…約1,000~2,000時間
- 蛍光灯…約12,000時間
- LED…約40,000時間
ご覧の通り、他の照明と比べても、LEDは圧倒的な長寿命性を誇ります。
さらに、上記の耐用時間はあくまでも、「新品とほぼ同じ光り方が続く時間」を示していますので、実際には、この数値よりもさらに長く使用できると考えられます。
仮に、これらを1日10時間使用し続けた場合、白熱電球であれば1年以内、蛍光灯でも、約4年以内に寿命を迎えてしまいます。
ところが、LEDであれば、約10年近い寿命が期待できます。
この長寿命性によって、電球を交換する頻度が少なくなるだけでなく、高い節電効果も発揮するため、照明をLEDに交換すると、トータルのランニングコストも大きく節約することができるでしょう。
低発熱で安全
白熱電球は、長時間稼働していると、次第に表面が高温になっていきます。
長時間点けっぱなしにしていたデスクライトに触れて、火傷しそうになった経験をお持ちの方も多いのではないでしょうか。
この白熱電球の熱は、部屋の温度も上げてしまうため、店舗や舞台など、強い照明をいくつも設置しなければならない空間は、室温が高くなります。
また、照明の熱が周囲の物にも伝わってしまうため、プラスチックやビニール、紙など、熱に弱い素材は、照明の近くに置くことができません。
一方、LEDは、電球の周りがほとんど熱くならない照明です。
そのため、室内でも安心して長時間使うことができ、夏場であれば、室温の上昇も抑えられて空調費が発生しにくくなり、ここでもLEDの節電効果が期待できます。
紫外線の含有量が少ない
白熱電球の光には、紫外線が含まれています。
そのため、長いあいだ使用し続けていると、周囲にある白いクロスやカーテン、本などが、紫外線によって黄ばんでしまいます。
店舗や美術館など、長時間照明を点灯し続けなければならない施設では、白熱電球の光が商品にダメージを与えるおそれがあります。
このような施設では、紫外線の含有量が少ないLEDを使うことで、商品や展示物の劣化を防ぐことが可能です。
さらに、紫外線の含有量が少ないLEDであれば、紫外線に反応して寄ってくる虫も遠ざけることができるため、商品や店舗の衛生度を保つことができます。
LEDを導入する時の注意点
LEDの設置で避けられない問題が、導入費用の高さです。
しかし、省エネ効果が高く、寿命も長いLEDに交換することができれば、節電できた電気代で、導入費用を数年かけて回収することも不可能ではありません。
既存の照明をLEDに交換する時の費用
LEDの価格は、白熱電球の約6倍、蛍光灯の約2倍です。
仮に100本分の照明を交換した場合、約1,000円の蛍光灯であれば約100,000円ですが、LEDの場合、約200,000円という費用になります。
大きな店舗や施設で、建物全体を一気にLED化することになると、約100~250万円の費用になるとも考えられます。
せっかくLEDに交換して電気代を節約できても、工事後に手元に満足なお金が残っていなければ、生活や事業を続けることができません。
そのような事態を避けるためにも、まずは、少しずつLEDに移行し、1回あたりの工事コストを分割すると良いでしょう。
メインで利用する部屋や、1日の稼働時間が長い箇所など、節電効果が高い箇所を優先してLEDに移行することができれば、他の箇所をLED化する費用を、節約できた電気代から捻出することができます。
また、長寿命のLEDであれば、次のLED工事までに照明の交換が発生する恐れもありません。
補助金を利用する
お住まいの自治体によっては、LED化工事の際に、補助金を利用できることがあります。
補助の対象となるのは、
- LED機器の購入費用
- 設置費用
の2つですが、補助金の種類によっては、どちらか1つのみが補助の対象となっていたり、合計金額の上限が設けられたりしています。
また、工事前に審査を必要とする補助金制度の場合、審査を通過しなければ工事に着工することができません。
まずは工事費用の見積もりを取り、利用できる補助金がないか、工事前に行う手続きがないかなどを、しっかり調べておきましょう。
おわりに
LEDは、省エネ性能だけでなく、長寿命性や安全性など、これまで一般的に使われていた白熱電球や蛍光灯などに比べると、非常に優れた効果を持つ照明です。
導入コストは掛かってしまいますが、部分的に少しずつ移行したり、補助金を活用したりすることで、導入コストを抑えながら、節電効果の恩恵を受けることができます。
まずは、リフォーム業者などにLED交換の見積もりを作ってもらい、最も省エネ効果が高い箇所から、予算で行える範囲で移行を進めると良いでしょう。