キッチンは飲食店にとって欠かせない設備ですが、レイアウト次第で、お店の内装を演出する道具にもなります。
特に、厨房が見える開放的なオープンキッチンは、来店したお客様を大いに楽しませることでしょう。
ただし、オープンキッチンスタイルを選ぶ際は、メリットだけでなくデメリットについてもしっかり押さえておく必要があります。
オープンキッチンで飲食店に個性を出そう
キッチンのスタイルには、オープンキッチンとクローズドキッチンの2種類があります。
オープンキッチンとは、リビングやダイニングなど、部屋の中に設置されたキッチンのことです。
そしてクローズドキッチンは、リビングやダイニングとは別の部屋に、隔離して設置されているキッチンを指します。
この2種類どちらのキッチンにするかで、飲食店の印象は全く異なります。
オープンキッチンは主流になりつつある
ひと昔前までは、戸建て住宅などでも、クローズドキッチンが一般的でした。
しかし、クローズドキッチンは、料理を運ぶために部屋を往復しなければならず、調理中はリビングの様子がわからないというデメリットがあります。
そこで、徐々に人気を集めるようになったのが、オープンキッチンです。
部屋の中にあるオープンキッチンであれば、リビングやダイニングの様子を見ながら火事が行え、配膳や片付けの際も部屋を移動する必要がありません。
このようなオープンキッチンの利点は、飲食店においても活用されつつあります。
飲食店の厨房をオープンキッチンにすべきメリット
飲食店でオープンキッチンを取り入れるメリットには、様々なものがあります。
調理の様子がパフォーマンスになる
厨房から届く料理の香りや調理音を楽しむことも、飲食店の醍醐味と言えます。
オープンキッチンにすると、調理の様子をパフォーマンスに昇華することも可能です。
例えば、仕上げのフランベで立ち上がる炎や、大きな肉の塊を捌く様子、繊細な盛り付けの様子などは、料理を待つ人を退屈させません。
あるいは、派手なパフォーマンスをしなくても、包丁の動きを眺めているだけで楽しめるお客様もいるでしょう。
「見られている」という意識が従業員の士気を高める
オープンキッチンは、調理の様子や食材の扱い方が丸見えになります。
そのため、「お客さんに見られている」という意識が、スタッフの振る舞いにも反映され、従業員全員の衛生意識を高めることができます。
もちろん、衛生管理は飲食店を経営する上では当然のことですが、スタッフがキッチンで堂々と振る舞う様子は、見ているお客さんにも安心感を与えるでしょう。
お客さんとコミュニケーションが取れる
オープンキッチンは、必然的に客席近くにありますので、調理中に、近くの席のお客様と会話することができます。
もし、一人で来たお客様がいれば、キッチン近くに案内することで、待ち時間中にスタッフと会話でき、安心して過ごしてもらうことができます。
また、使用する食材の説明や調理のこだわりなども、会話の中でさりげなくアピールすることができるでしょう。
オープンキッチンにした時のデメリットにも注意
人気のオープンキッチンですが、実際に設置した後でデメリットに気づく方も少なくはありません。
内装レイアウトを決めてしまう前に、以下のデメリット面も把握しておきましょう。
調理の汚れや臭いがフロアに広がる
別室に隔離されておらず、周囲を壁で囲まれていないオープンキッチンは、調理中の油汚れや水しぶきなどが周囲に飛び散りやすく、臭いもフロアに広がりやすくなります。
そのため、換気扇は威力が強いものを用意し、キッチン周りの清掃は、従業員やお客様が油汚れなどで転倒しないように、常に徹底しなければなりません。
さらに、汚れがお客様の衣服や肌に飛んでしまうと、場合によってはクレームになることもありますので、席を話すなどして配慮する必要があるでしょう。
キッチンの様子が丸見えになる
キッチン内部がお客様に見えるという点は、オープンキッチンのメリットでもあり、デメリットでもあります。
忙しい厨房では、調理中に、スタッフ同士が厳しい口調で指示を飛ばし合うことがあります。
スタッフにとっては日常的な光景でも、お客様によってはケンカのように見えてしまうかもしれません。
あるいは、何気ない味見のしぐさを不快に感じる人もいるでしょう。
オープンキッチンでの調理は、お客様からどのように見られているか、常に意識しなくてはなりません。
また、オープンキッチンも内装の一部ですので、お店のコンセプトに合った飾り付けが求められます。
そのため、クローズドキッチンのようにお皿や調理器具を乱雑に配置する訳には行かず、お客様に見えないように、いかに効率良く収納するかの手腕が求められるでしょう。
レイアウト変更にお金がかかる
一度設置してしまったキッチンの移動は、簡単ではありません。
キッチンの解体跡・移動先ともに内装工事が発生し、水道やガス、電気なども新たに配線し直さなければなりません。
特に、オープンキッチンからクローズドキッチンへのレイアウト変更は、壁の造作工事も発生するため内装工事が割高になります。
賃貸物件であれば、移動できるスペースも限られており、移動そのものが叶わない恐れもあります。
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おわりに
オープンキッチンスタイルは、個性的な飲食店を演出するまたとないツールです。
しかし、そのスタイルは良く言えば「開放的」であり、悪く言えば、「丸見え」でもあります。
オープンキッチンの見た目だけでなく、デメリットも考慮したうえで、本当に店舗の内装として相応しいか見極めましょう。