深夜に営業するお店を開業予定の人は、深夜営業許可や風営法といった法律の知識が必須になります。
無許可で深夜営業して重い罰が課せられるケースもあるため、何も調べずに開業するのは非常に危険です。
ご自身のお店で深夜営業許可が必要か、届出のためにはどのような条件が必要かなどを知っておきましょう。
深夜営業する飲食店の一部は「深夜営業許可申請」が必要
午前0~6時の時間帯は、風俗営業法により「深夜」と定められています。
飲食店のうち、お酒の提供がメインのお店を深夜0時過ぎまで営業する場合は、「深夜営業許可」を取得しなければなりません。
深夜営業許可は、正しくは「深夜における酒類提供飲食店営業営業開始届出」です。
もし申請せずに無許可で深夜まで営業すると、50万円以下の罰金が課せられてしまいます。
飲食店の深夜営業許可が必要な条件は2つ
深夜営業許可を取得しなければならないのは、下記2つの条件に当てはまる飲食店です。
● 営業時間が午前0時を超える
● アルコール類の提供が中心
バーやスナック、居酒屋で0時以降も営業する場合は、必ず深夜営業許可の届出が必要ということになります。
ただし、主食レベルの料理提供がメインのお店は深夜まで営業しても届出の必要はなく、メニューの一部にアルコールが含まれていても問題ありません。
深夜営業する飲食店を開く前に知っておきたい注意点
深夜営業できるかどうかは、お店の立地と構造で決まります。
お店の営業方針を固めてしまう前に知っておかなければ、内装工事や物件選びをやり直すことになってしまいますので、申請前に許可のルールを知っておきましょう。
お店として使う物件にはルールがある
深夜営業許可を取得するためには、お店として使う物件が以下の条件を満たしている必要があります。
1.深夜営業できる用途地域で開業すること |
その土地に建てられる建物を、使用目的別に制限したものを用途地域と言います。 例えば、住居専用地なら住居用の家は建てられるが、工場を建ててはいけないなどの決まりがあります。 深夜営業できるのは「住居地域以外」のエリアに限られます。 |
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2.客室の面積を9.5㎡以上確保すること | 狭い個室を作らないよう注意が必要です。 |
3.客室が障害物で隠れていないこと | パーテーションや壁だけでなく、装飾や家具などが客室の見通しを妨げてもいけません。 |
4.客室部分を施錠しないこと | ただし客室と屋外を繋ぐ出入り口は施錠できます。 |
5.公序良俗に反する広告、写真、装飾を設置しないこと | 「善良の風俗もしくは正常な風俗環境」を妨げてはならないとされています。 |
6.お店の照明を暗くし過ぎないこと | 照度20ルクス以上にする必要があります。 |
7.条例で定められた数値以上の騒音や振動を発しないこと | 必要に応じて壁や床に吸音材や遮音材を設置することになります。 |
深夜営業許可の届け出方法
ここからは深夜営業許可の届出方法と必要書類をご紹介します。
ちなみに、飲食店の開業には「食品衛生責任者」の選任や保険所への申請なども必要ですので、どちらかの処理に追われて片方を忘れないよう注意しましょう。
深夜営業許可の届出場所
店舗所在地を管轄している警察署に必要書類(※下記参照)を持参します。
※手数料はかかりません。
※郵送、インターネット申請はできません。
深夜営業許可の届出期限
営業開始の10日前まで
深夜営業許可の届出に必要な書類
● 深夜における酒類提供飲食店営業営業開始届出書
● 飲食店営業許可証(保健所からもらいます)
● 店舗の内装がわかる図面(家具や設備の位置、面積が記載されているもの)
● 住民票(届出を行う人の本籍が記載されたもの、外国人は国籍記載のもの)
● 定款、法人登記事項証明書、役員全員の住民票 ※法人のみ
管轄の警察署によってはこの他にも提出を求められることがありますので、持ち込む前に電話などで確認しておきましょう。
おわりに
深夜営業許可を取得するためには、物件選びや店舗構想の段階から届出の条件をクリアしておかなければなりません。
あれこれ構想して内装リフォームまで済んだあとに申請しても、リフォームのやり直しや物件を選び直すことになる恐れがあります。
開業予定のお店で深夜0時以降に酒類を提供するのであれば、深夜営業許可の届出を基準にして準備を進めましょう。