お酒の提供だけでなく、料理も楽しめる居酒屋は、学生・社会人を問わず、多くの人の社交の場です。しかし、一口に居酒屋といっても、提供するサービス内容やターゲットとなる客層は様々です。効率よく集客をするためには、ターゲットに合わせて適切な営業時間を定めることが重要となります。これから居酒屋をはじめようと考えている、または来店客を増やしたいとお考えの方に、営業時間の決め方とお勧めの営業時間をご紹介します。
居酒屋の営業時間を決める前に知っておくこと
居酒屋の営業時間を決めるために、まずは開業に当たって最低限守らなくてはならないルールを再確認しておきましょう。
- 保健所の許可 所轄の保健所へ「飲食店営業許可」の申請が必要です。「食品衛生責任者」の講習を受けた有資格者を、店舗に1人在籍させる必要があります。
- 警察署の許可 翌日深夜0時から午前6時までお酒を提供する場合は、所轄警察署へ「深夜酒類提供飲食店」の申請が必要です。届出期間は開業の10日前までとなっています。また、バンドの生演奏やカラオケ大会を行う居酒屋が、深夜0時から午前6時の間に営業する場合は「特定遊興飲食店」の届出も必要です。
営業時間に影響する3つの要因
居酒屋の営業時間を設定する要因は、大きく3つに分けることができます。
- 法の制限内で営業 先ほどご紹介したように、居酒屋が深夜0時以降に営業を行う場合は「深夜酒類提供飲食店」の申請を行わなくてはなりません。しかし、お酒の提供を行っていても、閉店時間を0時前に設定していれば、申請は不要です。
- 周辺の競合店との差別化 対象客層が似たお店が近隣にあれば、そのお店よりも1時間早く開業したり、遅く営業したりする事で、集客に繋げることができます。
- ピーク時間にねらいを定める 最後にご紹介する3つ目の理由は、営業時間に最も影響すると言っても過言ではない、「ピーク時間」です。ピーク時間は、営業するお店のジャンルや雰囲気、ターゲットとなる客層の性別や職業によって異なります。例えば、通常、居酒屋が最も混む時間帯は、金曜~日曜の夕方から夜です。しかし、オフィス街に構えたお店では、土日祝日は大半のオフィスが休業日となるため、営業を行わないこともあります。また、いくら多くの客を獲得したいと思っても、年中無休で24時間営業を行う訳にはいきません。ですので、その店にとって最も需要のあるピーク時間に絞って営業時間を設定する事で、効率良く集客率を上げることができるのです。
居酒屋のジャンルとそれぞれの営業時間
居酒屋の営業時間は、そのジャンルごとに以下のような傾向を持っています。
- 料理がメインの居酒屋 広い店内にゆったり席が設けられ、料理のメニューも充実している居酒屋です。午前・お昼は営業せず、夕方から深夜の間に営業する所がほとんどです。
- ランチ営業も行うバー 店内に広いカウンターと小さなテーブル数席を構え、お酒をメインに提供するお店です。昼間にランチ営業を行い、昼と夜の二部で営業している所もあります。夜の営業時間は、料理がメインの居酒屋に比べると遅めですが、18時から19時頃には開業しています。
居酒屋のジャンル別・お勧め営業時間
最後に、お店のジャンルごとにお勧めの営業時間をご紹介します。お店の立地や他の競合店との差別化も踏まえながら、営業時間の一例としてお役立てください。
料理メインの居酒屋はピーク時間の見極めを
- 17時00分~23時00分 食事も兼ねて来店する客をターゲットにするのであれば、17時00分からの営業を検討してみましょう。16時30分から早めに営業を開始し、他店と差別化を図る方法もありますが、電気代や人権費などのコストを払ってでも確保すべき客足がなければ、赤字になってしまいます。閉店時間に関しては、深夜以降はお酒の提供をメインとするお店に客足が流れ、料理の提供が減る分、客単価も下がる恐れがあるため、よほど集客の見込みがなければ、早めのクローズが賢明です。
2つの時間帯で営業を行うバー
- 11時00分~15時00分、20時00分~1時00分 お酒の提供がメインであるバーは、客単価が低く、ピーク時間に絞った営業時間の設定と、お昼のランチ営業が利益確保の鍵を握ります。ランチ営業の売り上げと人件費の兼ね合い次第で、深夜の営業時間延長も検討してみると良いでしょう。
ニーズに狙いを定める立ち飲み屋
- 13時00分~20時00分 こちらは他のジャンルの居酒屋が閉店している隙間時間を利用した営業時間です。大半の居酒屋やバーが閉店している、お昼から夜までの間に軽く飲みたい人をターゲットにしています。大半の人がお酒を飲まない時間帯の営業は、客足が途絶える恐れもあるため、その土地で立ち飲み屋需要があるかどうかをよく見極めなくてはなりません。
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おわりに
ピーク時間を見定めた適切な営業時間設定は、お店の利益率と、その土地での営業を維持するためにも欠かせません。集客を維持しようと、長すぎる営業時間を設定してしまうと、余分なコストが膨らむばかりか無休状態になってしまい、経営状況だけでなく、従業員の身体にも負担をかけてしまいます。お店のジャンルやその土地のニーズに応じて、客足が集中する時間を見極め、無理のない営業時間を設定しましょう。