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在庫回転率は、これから店舗を経営する人にとって、経営を続けるために欠かせないデータです。
「大きなお店じゃないから、在庫回転率の計算は必要ない」
「在庫回転率の見方はそのうち覚える」
と軽視していると、いくら売上が出ても手元に全く現金が残らないという事態に陥るかもしれません。
この記事では、在庫回転率の意味や重要性、計算方法などについて解説するほか、これから在庫管理を始めようと考えている方におすすめの、在庫管理システムをご紹介します。
在庫回転率(商品回転率)とは?
在庫回転率とは、会社の在庫の回転速度を示す数値のことです。商品回転率と呼ばれることもあります。在庫回転率は在庫数と売上高から求めることができ、「何回転した」などという形で表現されます。
在庫は事業を継続するために欠かせない存在です。事業の経営状態を把握するためには、在庫の動きを把握しておかなければなりません。
在庫は利益を出すための重要な数字
在庫を仕入れるためにはお金が必要ですが、在庫を仕入れた資金を売上で回収できなければ、会社は赤字になってしまいます。
在庫が余っているということは、在庫を仕入れた分だけキャッシュがないということになり、それはすなわち「会社にお金がない」状態を意味します。会社の利益を正しく算出するためには、在庫回転率の把握は必須なのです。
在庫回転率の計算方法
どのタイミングの売上原価を計算に使ったかで、求められる在庫回転率は異なります。
一般的には、一年間の売上原価と、期中の平均在庫数で計算して在庫回転率を求めます。
一年間の在庫回転率は以下の計算式で求めることができます。
売上原価÷{(期首の在庫金額+期末の在庫金額)÷2}
つまり「在庫回転率が3」となった場合は、「1年間で在庫が3回転した」ということになります。さらに詳しく言えば、「在庫が入れ替わるまでに4カ月かかっている」ということです。
適正な在庫回転率はどのくらい?
在庫回転率の適正な数値は、会社の規模や業種によって違います。自分の会社の適正な在庫回転率を知りたい場合は、定期的に自社の在庫回転率を見直し、現在の経営状態などから読み取らなくてはなりません。
沢山の在庫を仕入れても、在庫回転率が速ければ、短い期間で仕入にかかったお金を回収できているため問題ありません。
一方、少ない在庫しか仕入れていないので仕入れの費用が発生していないと思っていても、在庫回転率が少なければその分売上が発生していないことになり、良い経営状態とは言えないでしょう。
期中の在庫回転率は常に変動する
在庫回転率は一般的に、1期分の売上高と在庫の金額で求めます。しかし、在庫回転率は期中の数字で求めることも可能です。期中の在庫回転率を知れば、今現在の仕入れの傾向や利益率などを把握することができます。
ただし期中の売上と在庫数は常に変動するものです。そのため、期中の在庫回転率は定期的に計算し直さなければ、正確な数字は見えてこないという点を押さえておきましょう。
小売店経営者が在庫回転率を知っておくべき理由
在庫回転率には、経営に関する重要な情報が詰まっています。在庫回転率を把握すべき理由について知っておきましょう。
在庫の仕入れ方の指標になる
在庫回転率がわかっていれば、適正な在庫の仕入れ数も予測できます。適切な在庫が把握できていれば、焦って仕入れすぎたために在庫を抱えたり、読みを間違えて在庫が足りず、ビジネスチャンスを失ったりするリスクも減らせるでしょう。
在庫の仕入れ指標を知ることは、次で解説する「不良在庫がないか調べられる」でも役立ちます。
不良在庫がないか調べられる
在庫回転率が低いということは、仕入れたにも関わらず動いていない在庫が多い可能性があります。動いていない在庫の中には、「不良在庫」が紛れているかもしれません。
不良在庫とは、商品としての価値を失った在庫のことです。
例えば、
・破損、劣化した商品
・使用用途を失った商品(廃盤、流行遅れ)
などです。
不良在庫は放置していても会社の利益を減らすだけですので、早急に処分や計上などの措置を講じなければなりません。この不良在庫を見つけるためには、普段から在庫回転率の動きを確認することが最も有効です。
売れている商品がわかる
回転率が速い在庫ほど、仕入れから販売までの期間が短いということになります。つまり商品ごとの在庫回転率を求めることによって、商品の売れ行きを分析することができます。
その代わり、商品ごとの在庫回転率を計算するためには、在庫の量と金額をいつでも正確にチェックできる状態にしておかなければなりません。しかし、すべての在庫を何度もチェックし直していると、それだけで業務の大きな負担となります。
入出庫のたびに在庫状況を入力し、一定期間でまとめてシステムに入力するなど、従業員の負担なく更新できる在庫管理システムを用意しておきましょう。
イマドキの在庫管理方法~在庫管理システムとは?~
手作りの表やノートで在庫を管理する方法には限界があります。特に、事業が大きくなれば扱う在庫の量や種類も多くなり、管理するだけで労力が失われ、人為的ミスによる計算間違いやチェック漏れも増えてしまうでしょう。
事業が大きくなったり忙しくなったりしても、在庫の量や在庫回転率を瞬時に正確に把握するためには、「在庫管理システム」を導入することが効果的です。在庫管理システムを使えば、在庫管理にかかる人的コストが抑えられ、人為的ミスによる間違いも防げるようになります。
なお、在庫管理システムの一部は利用料金が発生しますが、在庫の動きとシステムの数字が連動することにより、「在庫があるとあったと思ったらなかった」「間違った商品を出庫してしまった」といったトラブルによる経済的損失を防ぐ料金としては割安と言えるでしょう。
在庫管理システムの注意点
在庫管理システムには、
・倉庫の在庫を管理するタイプ(倉庫管理型)
・ECサイト向けタイプ
の2種類があります。
倉庫管理型は、倉庫で在庫を保管している製造業や卸業、販売業向けのシステムです。一方、ECサイト向けの在庫管理システムでは、複数のネットショップを運営していて、在庫データを一括で管理したいときに用います。
倉庫にある在庫の数を把握したいのか、複数のネットショップで同時に在庫状況を把握したいのかによって、選ぶべき在庫管理システムのタイプが異なる点に注意が必要です。
小売店向けおすすめ在庫管理システム5選
以下からは、在庫管理システムをこれから導入したい小売店に向けて、おすすめの在庫管理システムを5つご紹介します。
ZAICO(スマート在庫管理)(倉庫管理型)
ZAICO (スマート在庫管理) | クラウド在庫管理ソフト iPhone・Android・API
利用料:無料(または月額980円~)
ZAICOは、無料で200件までの在庫データを管理できる在庫管理システムです。月額料金制のプランでは、在庫数の上限が撤廃されるほか、在庫データの検索や送り状作成などが行えるようになります。
低価格で在庫管理の雰囲気を掴みたい方や、取り扱う在庫の量や種類が少ない会社などにおすすめです。また、エクセルで作った在庫データが既にある場合は、データインポート機能を使えば、ZAICOのシステムにデータをすぐ移行することができます。
アラジンオフィス(倉庫・EC連携)
アラジンオフィス(在庫管理・販売管理・生産管理システム)│アイル
利用料:要問い合わせ
アラジンオフィスは在庫管理と生産管理も行える販売管理システムです。
倉庫管理のほか、ECショップの在庫管理も行えるため、各業種の性質に特化したパッケージも豊富に用意されていますので、
・こまごまとした複数の在庫を取り扱う製造業
・自社ショップだけでなくモールへのショップ展開も積極的に行うファッション業
・賞味期限も同時に管理しなければならない食品業
など、あらゆる業種の特徴に応じた柔軟なシステムが用意されています。
flam(倉庫管理型)
クラウド販売管理システム flam(フラム)は低価格で使いやすく多機能なクラウド型の販売・仕入・在庫管理システムです。
利用料:9,300円/月(スタンダードプラン)※30日の無料期間あり
フラム(flam)は販売管理、仕入管理、在庫管理まで行えるクラウド型の在庫管理システムです。
インターネット上にシステムがあるため、システムを利用するための準備は一切必要なく、ログインするだけでシステムにアクセスできます。また、プランに応じて3~30個のアカウントが同時に利用でき、社内のパソコンだけでなく、外出先からでもスマートフォンやタブレットなどでログインして在庫状況を確認することができます。
最も安いスタンダードプランでも、システム上から見積書や請求書、台帳の作成などが行えます。
odoo(倉庫・EC連携)
Odoo eコマース | オープンソースのクラウドERP Odooで実現する業務改善
利用料:無料(コミュニティ版のみ)
odooはオープンソース型の在庫管理システムです。オープンソースとはソースコード(プログラムを構成する文字列)が一般に公開されており、かつ、誰でもソースコードを自由にカスタマイズして良いソフトウェアのことです。
オープンソース型のodooであれば、使用用途や企業の規模、在庫の種類に応じてカスタマイズできるため、「値段が高かったのに使わない機能が多い」といった、パッケージ型の在庫管理システムを買ったときによくある失敗を防ぐことができます。
CAM MACS(倉庫・EC連携)
CAM MACS LITE – スタートアップ企業のためのERP
利用料:35,000円/月(ライトプランの場合)
CAM MACSでは、在庫管理はもちろん、販売管理やEC管理も行うことができ、「卸プラン」や「EC+店舗プラン」など業種に応じたプランを選択できます。「卸+EC+店舗プラン」へも移行できるため、将来の事業展開に合わせた使い方が可能です。
お客様の導線、売れるレイアウトを練りこんだ内装デザインはこちら
おわりに
在庫を持つ会社にとって、適正在庫や在庫状況の把握は、事業を継続するうえで欠かせない作業です。中でも、在庫回転率は、小売店にとって経営に関わる重要なデータです。
安定した店舗経営に繋げるためにも、在庫回転率の計算方法を身につけ、業種や事業の規模に合った在庫管理システムを駆使して、こまめに在庫をチェックするクセを付けておきましょう。